未来の大都市「新ゾーンモド市」が
参考にしたい日本の街とは?
そんな状況を受け、立ち上がるのが私たちJICAです。
これまでも首都ウランバートル近郊に新たに建設されたチンギス・ハーン国際空港(2021年開業)への円借款(開発途上国に対して低利で長期の緩やかな条件で開発資金を貸し付ける制度)や技術的な支援、日本と一緒に取り組んでいくモンゴル人のビジネスを支援するモンゴル日本センターの設立といった取り組みを行ってきましたが、そんな支援の実績にモンゴル政府が着目し、「空港と一体になった周辺都市の開発を、ぜひ日本と一緒にやりたい!」とラブコール。
ウランバートルや国家全体の規模から見た都市計画を一緒に考えつつ、この地域でのインフラ整備計画について調査・提言を行おうとしているアジア開発銀行(ADB)と役割分担をしながら、ついに今年の秋からこの新ゾーンモド市の開発を2人3脚で支援するJICAの技術協力プロジェクトが立ち上がろうとしています。
新ゾーンモド市における大学の移転や行政機関の建設を中心とした多目的な大都市開発は、日本でも茨城県つくば市の「筑波研究学園都市」などで実績があります。いわば、つくば市など日本の研究拠点と一体で都市開発を行った事例をモデルにした法律・ルールの整備や国・自治体などの役割分担、そしてビジネスや経済活動を呼び込む魅力づくりなどのノウハウを、日本の豊富な経験から技術移転することが期待されているのです。
開発にはまだまだ時間がかかりますが、将来的には大学や行政機関の移転のほか、国際会議やイベントが開ける大規模施設や空港・鉄道などを活用した物流拠点などの整備も計画されており、2035年の実現を目標に、この何もない草原に大規模な新都市が誕生する予定となっています。
最後に
距離は飛行機で5時間半と意外と近いものの、気候や社会、文化など、さまざまなものが日本と異なるモンゴル。その豊かな土地や歴史に思いを馳せつつ、堺雅人さんや阿部寛さんが「VIVANT」で熱演を繰り広げたドラマの聖地巡りも楽しめるいま、ぜひ皆さんもウランバートルや空港周辺を歩いてみることで、現地の歴史と未来を体感してみてください!
監修:地球の歩き方
※本記事は、2023年11月7日現在のものです。