ここ数年、熱狂的なサウナブームが続き、若者や中高年女性など、幅広い世代にまですそ野が広がっています。しかし、サウナ愛好家の間でも、「結局、どうやって入るのが正解なのかわからない」「『ととのう』ってどんな状態なんだろう」と疑問を持っている人も少なくありません。
そこで今回は、最新データに基づいて科学的に正しい入り方を解説し、「ととのうための必携書」「めちゃくちゃわかりやすい」と話題を呼んでいる新刊『究極にととのう サウナ大全』の著者・加藤容崇先生(日本サウナ学会代表理事・慶應義塾大学医学部特任助教)にご登壇いただいた、本書刊行記念セミナー(ダイヤモンド社「The Salon」主催)で寄せられた質問への、加藤氏の回答を公開します。(構成/根本隼)

実は命にかかわる「危険すぎるテントサウナ」の見抜き方Photo:Adobe Stock

Q. テントサウナの問題点とは?

読者からの質問 テントサウナに興味を持っています。テントサウナならではの効果や現状の課題、今後の動向について教えてください。

加藤容崇 まず、テントサウナの課題としては、法律上の扱いが不明確だということが1つ挙げられます。

 テントサウナがある施設に宿泊機能がついていれば、旅館業法で審査されるので問題ないのですが、宿舎が併設されていない施設の場合は、法律上の位置づけがあいまいなまま野放しになっているケースが多々あります。

 さらに、業界として「統一的な安全基準」がつくれていないことも大きな問題です。例えば、風が強いときにテントサウナをやってしまうと、薪ストーブの煙突から出ていくはずの排気が逆流して「一酸化炭素中毒」になるおそれがあるのですが、これは意外と知られていません。

 どのくらいの風速までならストーブを焚いても問題ないのか、データが全然蓄積されていないですし、風速計や一酸化炭素チェッカーの設置義務に関する基準も決まっていません。特に、一酸化炭素チェッカーがない施設は本当に危険なので、利用しないでください

 また、サウナ後の「クールダウン」として、自然の湖沼や河川で冷水浴ができる施設もありますが、これについてもルールが決まっていません。今年6月には栃木県日光市の施設で、サウナ後に池に入った男性が溺死するという、痛ましい事故が起きてしまいました。

 学会や厚労省が急いでルールづくりを進めていますが、まだ追いついていないのが現状です。

テントサウナの効用とは?

 テントサウナに装備されていることが多い薪ストーブは、上昇気流によって自動的に換気されます。なので、電気ストーブのサウナ室と比べて、フレッシュな外気が入ってきやすく、かなり快適です。

 さらに、自然豊かな場所に立地しているケースも多く、空気がきれいで景観もすばらしい空間でサウナに入れるという、他にはない圧倒的なメリットがあります。

 また、事業者側にとっても、比較的少額の初期投資でサウナ施設の運営にチャレンジできるという側面もあると思います。

(本稿は、ダイヤモンド社「The Salon」主催『究極にととのう サウナ大全』刊行記念セミナーで寄せられた質問への、著者・加藤容崇氏の回答です)