「偽たまごっち」が
日本のZ世代に人気!?

 そして、各社は早くも日本の若者の心をつかみつつあります。分析力の高さとアンテナの広さは驚異的だと言わざるを得ません。

 その一例が、韓国発ファッションブランド「aeae(エーイーエ―イー)」のアイテム「FREINDS KEYRING」。円形の電子デバイスで、端末の中央に白黒の画面が配置され、ユーザーは「ドット絵」のキャラを育てるゲームで遊べます。

韓国発「偽たまごっち」にZ世代がどハマり!なぜ本家本元バンダイの復活版じゃない?ZOZOTOWNに売られていた「FREINDS KEYRING」 出典:ZOZOTOWN

 FREINDS KEYRINGは今、日本のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」「BUYMA」などで売られており、簡単に手に入ります。ゲームではなく、「ファッション小物」として取り扱われているようです。

 筆者はFREINDS KEYRINGの存在を、調査で話を聞いた大学生から教わりました。「懐かしさとトレンド感が融合している」「ファッションの一部として身に着けやすい」などと、この若者は同アイテムを身に着けるものとして高評価していました。

 確かに、大学生がデニムなどからFREINDS KEYRINGをぶら下げていても、それはそれでファッションとして成立する気がします。

 とはいえ、このデバイスの形状やゲーム内容は、1990年代後半に流行した「あの玩具」にそっくりではありませんか。

 そう、「たまごっち」に。

本家の「たまごっち」も
確かに進化しているが…

 ここでポイントになるのが、FREINDS KEYRINGが似ているのはあくまで「あの頃」のたまごっちだということです。本家本元のバンダイが復活・再展開している最新シリーズとはちょっと違います。

韓国発「偽たまごっち」にZ世代がどハマり!なぜ本家本元バンダイの復活版じゃない?出典:ZOZOTOWN

 というのも、バンダイもY2Kブームに商機を見いだし、今夏に史上初となる「Wi-Fi通信機能搭載」の新作たまごっちを発売しています。他の人が育てているキャラと「メタバース」の世界で交流できるサービスにも対応し、遊び方もかなり進化しているようです。

 しかし、こうした新機能は確かに魅力的ではあるものの、今の若者が求める「レトロ感」が失われてしまったようにも思えます。もしかすると、最新機種は機能が充実している分、逆に「子どもっぽい」印象を若者に与えているのかもしれません。

 その結果、Z世代の趣味・嗜好(しこう)に合ったY2Kグッズとして「激似の韓国版デバイス」が売られている――ということなのでしょう。

 さすがにバンダイの最新機種よりも売れているとは到底思えませんが、こんなものが出回り、ハマっている若者が実在する時点で、皮肉な逆転現象が起きていると言えます。

韓国発「偽たまごっち」にZ世代がどハマり!なぜ本家本元バンダイの復活版じゃない?バンダイが今夏発売した最新機種「Tamagotchi Uni」(C) BANDAI  出典:ニュースリリース

 いかがだったでしょうか。韓国発の「偽たまごっち」を若者が楽しむ世の中を、数年前の私たちは予測できなかったはずです。令和はもはや、どんなレトロコンテンツに若者が注目しても不思議ではない時代なのです。

 そして、海外ブランドが手掛けた「平成レトロ風」商品は、それだけではありません。

 後編『伝説の少女漫画「NANA」に「VHS」「槇原敬之」…Z世代“平成レトロブーム”の中身が意外すぎた』では、その具体例を解説しています。興味のある方はぜひチェックしてみてください。