悪魔に魂を売れば
スプラが超絶うまくなるとしたら……
しかしそれでも、有名配信者やプロゲーマーがこぞって参加し、第4回大会のオンライン大会では約25,000チーム(1チームにつき4人)のエントリーがあったそうだから、その人気の高さがうかがえる。
筆者は“廃人”と称して差し支えのない重度のスプラトゥーンプレイヤーだったが、シリーズ最新作の『スプラトゥーン3』(2022年9月発売)からプレイする時間がなかなか取れずに、ちまちま遊ぶ程度になっているうちに、めきめき上達していく若者たちにすっかり差をつけられてしまった。
かつては「仮に悪魔に魂を売ればスプラが超絶うまくなるとするなら、自分はその取引をするか」を度々真剣に自問自答(特に入浴中)してきていた筆者であったが、トップ層入りを一度諦めてしまうと、諦めることの侘しさとともに、戦いの螺旋から降りることができた開放感とそれによって訪れた気楽さが身にしみて思われ、それはそれで悪くなかった。
つまり、以前は趣味とはいえガチ勢であった筆者は、ガチ感が消え、のほほんとしたエンジョイ勢のおじさんへと成り代わったのである。
スプラ甲子園への挑戦を持ちかけられたのはそんな折であった。発起人は、数年前にわずかに稼働していた10人弱のスプラチームの仲間で、SNSでゆるくつながっていた相手である。そこに筆者の義理の弟まで動員して、筆者だけおじさん、他は筆者よりひと回りもふた回りも若い男女3人、スキルの高さはそれぞれだが総合して上位勢には程遠い、というメンツとなった。
スプラ甲子園は、野球の夏の甲子園と同じように地区大会がいくつもあって、そこで勝ち上がってきたチームが本戦(決勝大会)に出場できる。地区大会には抽選に当たらないと出場できないが、そのうち「オンライン大会」(計2回開催)というものだけは抽選の必要がなく、参加希望者は誰でも参加できる。必然的にレベルが凄まじく高くなる。
我々がエントリーしたのはこれである。決勝進出となる上位8チーム入りを我々が果たすのはほぼ不可能であると確信されたが、4人中3人(筆者含む)はスプラ甲子園未経験であり、エントリーしたというだけで心躍るものがあった。