そして高村学生部長から、「君たちの先輩で、学会にお勤めされている先生(池田氏のこと)のお傍で働いておられる方たちです」と、従えてきた3人の男性を紹介された。そのうちの1人が、別の職員が持つ紙袋からあんパンと紙パックの牛乳を取り出し、盆に乗せた。それをうやうやしく胸のところまで上げ、私たち学生に激励品であるあんパンと牛乳を受け取るように促す。
「先生からのご伝言です。『くれぐれもお体にお気をつけてください。お母さんを大事にね』。大変におめでとうございます」
学会本部職員が大声を張り上げる。このとき私と一緒にいた同級生は、学会副会長の子弟だったので、こうしたときのお作法を心得ていたのだろう。職員らにこう言った。
「本当に有難うございました。先生と奥様のご健康、ご長寿を祈念しております」
こうした激励品としては、あんパン、牛乳をはじめ、アイスクリーム、学用品のほか、新宿・中村屋の「かりんとう」が出たこともあった。その多くは、「創立者がお好きなもの」といわれているものばかりである。
「涙は創価の王女に似合わないよ、
君たちは僕の娘だよ」
創立者が大学構内にお入りの日、学内で白のベンツが通れば、これは「創立者のお車」であり、クラクションが鳴れば池田氏が乗っているというサインだった。
ある女子学生はキャンパス内を歩いていたとき、この池田氏の車に遭遇した。感極まって涙を流し、「センセイーっ!」と叫ぶ女子学生たちの姿を認めた池田氏は車を降り、女子学生たちに近づいた。そして、こう言ったという。
「どうして泣くの?君たちは僕の娘だよ。娘がお父さんの前で泣くなんておかしいよ。泣かなくていいよ。涙は創価の王女に似合わないよ」
聖教新聞などでも時折用いられている、この「創価の王子・王女」といったフレーズは、おそらく池田氏好みなのだろう。「安手のホストのような言葉」と口さがない声も聞こえてくるが、創価大で学ぶ学生、とりわけ女子学生たちは、「さすが桂冠詩人、池田先生」と好意的に捉えられ、その巧みな言葉遣いに皆、感服していた……はずである。