米国の国旗2024Photo:123RF

来年のエネルギー業界の重要な話題について国内と海外でそれぞれ5つずつ選び、2回に分けてお届けする「2024年エネルギー業界の超重要テーマ」。長期連載『エネルギー動乱』の本稿では、後編である海外の話題を取り上げる。日本に大きな影響を及ぼす可能性が高いテーマを中心に扱う。(KPMGコンサルティング プリンシパル/エネルギーアナリスト 巽 直樹)

最大の話題はすべてに影響しかねない
「米国大統領選挙」の行方

 2024年のキーワードは、東西分断と南北問題の激化、欧州は脱炭素化でわが道を貫くのか、カーボンニュートラル呪縛からの現実派の覚醒、エネルギー需給危機は再び訪れるのか、といったところである。

 最大の話題はこれらすべてに影響を与えかねない米国の大統領選挙であろう。

 ロシアによるウクライナ侵攻以降、世界中で化石燃料の争奪戦が発生し、コモディティ価格は高騰した。折しもインフレ懸念が世界中で吹き荒れるなか、コストプッシュ型インフレの火に油を注ぐような状態がエネルギー市場で続いてきた。

 24年はここ2年余りの世界情勢を総括し、各国・各地域や各企業が今後の戦略を練り上げる必要がある重要な年であると筆者は考えている。誰しもが、エネルギー安全保障やカーボンニュートラル実現への対応を意識せざるを得なくなっているが、これらへの解決策として、具体的な戦略を持ち合わせている状況にあるとは決していえないからだ。

 ここに中東情勢までが加わり、さらには台湾有事への懸念が高まるなか、これらの状況を分析するだけでも、複雑極まりない国際関係を読み解く必要がある。誰しもが、明日へのシナリオを真剣に考えることから逃れられない局面を迎えている。