新・高齢者住宅は
多様性の重視をかかげる
新・高齢者住宅の一つの例に、夫婦部屋12戸を含む53戸からなる、鳥取県境港市のサービス付き高齢者向け住宅があります。併設事業所として、訪問看護ステーションと訪問介護ステーションを備え、併設施設として飲食店(定食屋)とシニア向けカルチャースクールもあります。
介護が必要な高齢者の場合は、介護サービス費の自己負担分を支払う必要があります。平均要介護度は1.8で、看取りまで対応します。
立地は、境港市内の駅の近くの幹線道路沿いです。共用スペースの有料ラウンジではオムライス、ラーメンなどの軽食が食べられます。このほか、ライブラリーやメインダイニング、アクティビティルームがあります。
豊かに暮らしてもらうのがコンセプトのため、ダイニングはオープンキッチンにしてあり、入居者が訪れてから陶器の器に盛り付け、温かい食事を楽しんでもらっています。
最新の松江市の高齢者住宅は、訪問看護ステーションと訪問介護ステーション、定食屋とカフェ、シニア向けカルチャーコミュニティを併設していて、入居者は、メインのダイニングとラウンジ、定食屋、カフェの4カ所の食事を選べることになります。
私たちはこのような高齢者住宅を、決して富裕層向けではなく、普通の人が入れる住まいとして数多く普及させようとしています。
新・高齢者住宅の根底にはいくつもの考え方があり、その一つが多様性の重視です。
もちろん、高齢者住宅は高齢者が集まって住む住宅です。しかし、私たちの高齢者住宅では、自立できるお年寄りから看取りの近いお年寄りまでさまざまな人が入居するようにしています。地域にオープンにしているのも同じ考え方で、身近にいろいろな人がいる「普通」の状態を保ちたいのです。
藤山勝巳 著
人生には刺激が必要です。いつも同じ人とばかり顔を合わせていたら、単調な日々の繰り返しになってしまいます。私たちの高齢者住宅は、共有施設でさまざまな体験をし、内部や外部のさまざまな人と出会えるようになっています。外に出れば雑多な街並みが広がり、さまざまな刺激が受けられます。郊外の自然に囲まれた施設では、こうはいきません。
私たちの高齢者住宅には、ごはん処が併設されているところがいくつかあります。ある女性の入居者がメインダイニングでの食事をキャンセルし、そこで食事をしました。そのとき、普段とは違う服装でおしゃれをし、化粧をしていたそうです。こういった暮らしこそが、豊かな暮らしといえるものだと思います。