次期会長に選任された片山会長は「100年に一度といわれる自動車産業の大変革期の真っただ中で会長の『たすき』を受け取る重責に身の引き締まる思いだが、自工会は日本経済の最重要な柱であり新たな課題と変革の時代に立たされている。直面する課題は多岐にわたるが、特にここ2~3年で注力する課題を7つにまとめた結果、カーボンニュートラル化だけでなく2024年問題に代表されるドライバー不足、物流効率化や運行管理等、協調すべき課題が多い商用領域が当面のペースメーカーになるべきとの結論に至り、今回の自工会新体制となった」と就任の抱負を語った。
いすゞといえば、1916年創業の最古参でかつて「自動車御三家」に数えられた日本の自動車メーカーの名門だ。商用車だけでなく乗用車事業も手掛け、70年代の自動車資本自由化で米GMと資本提携し、実に35年間GMグループの一員であった。
だが、2000年代半ばにGMの経営破綻により資本提携を解消、06年にはトヨタと資本提携(トヨタが5.8%を出資)したが、こちらもその後提携を解消した。
片山氏がいすゞの社長に就任したのが15年6月だが、この8年の間に積極的な提携戦略を進めてきた。
19年には、スウェーデンのボルボトラックと戦略的提携を締結するとともに、ボルボトラックの100%子会社だったUDトラックス(旧日産ディーゼル)を買収して子会社化した。
一方で21年にはトヨタと再資本提携(5.02%出資持ち合い)して、トヨタグループの次世代商用車開発連合である「CJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」に参画。また、米大手エンジンメーカーであるカミンズ社との業務提携も拡大して中型EVトラックの共同開発にも乗り出したほか、ホンダとは大型FCV(燃料電池車)の共同開発提携を進めてきている。
片山いすゞ体制の特徴は多面的な提携拡大にあり、「強かな経営」でいすゞの生き残りを進めてきたのである。業績も片山体制スタート時の売上高は1兆8000億円だったが、今期予想では3兆2000億円に拡大し、売上高、利益共に2年連続で過去最高を更新する見込みだ。