漏洩した情報で
パスポート偽造?

 報道通り、本件に国家的背景がないとした場合、本事件における情報漏洩(ろうえい)で考えられるリスクは何だろうか。

 まず考えられるのはパスポートの偽造だ。

 しかし、これに関し外務省関係者は、日本のパスポートには、偽造対策としてICチップが内蔵されており、偽造や改ざんは難しく、むしろ、考えられるリスクとしては、他人になりすましてパスポートを不正取得することだという。

 ちなみに、過去5年間に把握したなりすましによる旅券の不正取得数は、18年が10冊、19年が8冊、20年が3冊、21年が3冊、22年が3冊である(外務省:23年2月時点)。

 不正取得したパスポートにより、不法な出入国に使用され、テロや不法移民等の国際組織犯罪の発生を助長する危険性がある。

 特に危険なのが、パスポートを公的身分証として示し、他人名義で借金をしたり、特殊詐欺等の各種犯罪に使用するための銀行口座の開設や携帯電話などの契約に悪用したりするなど、多くの犯罪被害につながるおそれがあることだ。

 当然、悪徳業者に個人情報を売るという危険性もあるが、本事件が示す危険性の本質は他にある。