2023年に注目する・盛り上がると考える領域、テーマ、テクノロジー、プロダクトなどを教えてください。

・エンベデッド・ファイナンス
クレカがばら撒かれていき、エンベデッド・ファイナンスの基盤ができ上がってくると予想します。そのクレカそれぞれのインセンティブの仕組みを生かしたエンベデッド・ファイナンスのサービスが、各社・各事業で続々と社会実装されていくのではないでしょうか。生活者としては、「どの経済圏で生活をするか」というのを自覚的に選んでいくような感覚を持ち始める時期が来ているかも知れません。

・デジタル証券
LayerXと三井物産等の合弁会社の三井物産デジタル・アセットマネジメントの「ALTERNA」(個人向け)が本格展開する予定です。これまでデジタル証券は技術的な社会実装を「試す」位置付けの奇抜な金融商品の流通がメインだったのですが、従来の金融資産の文脈から見ても価値の保存性が高い商品が、デジタル証券の形で個人にも本格流通していくことが始まる1年になるのではないでしょうか。日本の課題として莫大に眠っている個人の金融資産が預金で塩漬けされていることもあり、デジタル証券という大量流通・低コストでガバナンスを効かせられる仕組みを生かして掘り起こして欲しいと思います。

・格闘エンターテインメント
格闘技ってやっぱり、世界中でわかりやすいエンターテインメントなんですよね。老若男女、誰でも取っ組み合っていることにエキサイトするというか。世界中で同時多発的にヘンテコな格闘エンターテインメントが出てきてますので(電話ボックスの中で殴り合うものとか、いろいろ(笑))、より盛り上がるのではないでしょうか。日本だとまずはブレイキングダウンが出てきてますが、同様のものがたくさん出てくると思います。私自身はガチの格闘技ファンなので、そういうのは視聴者としては見ずに、UFCやONE、RIZINあたりを見るのですが。「仕事」としてこういう流れあるよね、という感じには追っていきたいと思います。

2023年に注目すべきスタートアップについて教えてください。投資先の場合は、その点を明示してください。

・LayerX
黎明期から取締役をしています。ブロックチェーン受託開発から何か自社サービスをやろう、ということだけ決めてから2年半で今の状態まで持ってきたことは稀有な成長プロセスをたどっていると思います。一部では「レッドオーシャンぽい請求書のSaaSみたいなのやってるよね」という捉え方をされているとは思いますが、バクラク事業における矢継ぎ早でのプロダクトリリースと改善、それを支える開発組織とビジネス組織の拡充とクオリティー、持ち分法適用会社である三井物産デジタル・アセットマネジメントなど、色々なことが統合されて社会に認知され、「そういうことを目指していたのか」ということがスケール感と共に真の意味で認知されうる1年になるのではないかと考えています。