そういう「ワーッとやってダメだった」というのは、ある種メルカリの文化になっています。それが嫌いな人もたくさんいるんですよ。特にエンジニアは、ちゃんと長期計画を立てて開発をすべきだと。それはそれでちゃんとやっていて、去年はアプリを全部書き換えたりしています。だから中長期的なテクノロジーに投資はするけど、そうじゃないところはもう何か、ワーッと行ってワーッと違う方向に向かっていくみたいな、そういう感じの会社です。
──取材にあたって過去をさかのぼりましたが、実はM&Aや新規事業での失敗は少なくありませんでした。
外の人は「やるぞ」というときには(メディアやSNSで)取り上げますが、ひっそりとやめますっていうときに、それをあえて取り上げないじゃないですか。やっぱりうまくいったことの方が目立つから、USがこれだけ伸びました、メルペイがこれだけ黒字になりました、といったことの方がニュースとしてはバリューがある。そういう意味では、本当にすごくいろんなことをやって、ほとんどが失敗しているんですけど、一部がうまくいっているという会社です。
────海外の話では、スマートニュースも人員を削減しました。メルカリはコマースアプリでいえばApp Storeの20位台くらい。それなりに成長しつつあるものの、まだ上に競合がいるような状況です。海外戦略は拡大していきますか。
日本でこれだけ(市場サイズが)あるなら、当然海外の方がGDPも大きいわけだから、基本的にポテンシャルは絶対にあります。ただ、そこにやみくもに集中していたら何とかなるだろうというわけでもありません。特に今、インフレや景気後退の影響をすごく受けているので、短期的には正しいバランスは何かという議論はあります。
ですが中長期で見たら、この分野はポテンシャルがすごく大きい。そのために今、何をやるべきかということを逆算して考えた方がいいかなと思ってはいます。
グローバルをやっていくという意味では、USについても「これってうまくいくんですか」と言われ続けてきました。スマートニュースも一時的には縮小しましたが、ミッションに関わる部分って、何というか諦めようがない。それはリクルートやソニーもそうだったと思うんですが、やはりそういう目標を掲げて進むときもあれば、三歩進んで五歩下がるみたいなときもある。だけど、それでも諦めない。むやみに投資して突っ込むという話ではなくて、こうやったらいいんじゃないか、ああやったらいいんじゃないかと続けていく感じです。