メルカリもそういう意味では今、どれくらいの投資をするべきで、ここをこう変えた方がいいんじゃないかとか、M&Aも含めて、当然あらゆるオプションがビジネスではあります。何とかしてグローバルなマーケットプレイスをやっていきたい。だから一時的にどうなっても、何とかして違う方法でマーケットフィットする方法を見つけたいと思います。
最終的には数字、実績がつけば誰も文句を言わない
──2018年に上場しました。上場前後では何か変わりましたか。
上場というより、最初の人数が少ないうちは自分たち経営陣が率先してやって率先して失敗するのでよかったんですけど、それをカルチャーにするというのは意識してましたね。
「とにかくGo Boldでやろう」とか。OKRや目標設定で「どんなGo Boldなことをやるのか」「やったのか」を聞くと、「何かGo Boldなことををやらないと評価されない会社なんじゃないか」となるんですよね。失敗しても「それがよかったよね、何が学べましたか」と。
そういうカルチャーにしていかないと、結局、上の方が何か新しいことをやっていても、みんなコンサバティブだったら意味ないじゃん、という話なんです。
そういうカルチャーを作るようにしていったことによって、小さい失敗が山積みになっているというのはあり、たまにそういうのが大きな失敗につながって大炎上するようなことも多いですが。
──スタートアップの目線とマーケットを意識せざるを得ない上場企業の目線は全然違います。上場すると(短期的な成長のためには)新規事業はやりづらくなりがちですが、今の話を聞くとそんな状況にはなっていないようです。そのあたりのカルチャーの作り方、そしてマーケットとの対話のノウハウはあるんでしょうか。
僕らは上場したときと今で株価が変わらないので、株式市場的に見れば「5年間、進歩がない」とも言えます。でも別に株価での評価だけが評価というわけじゃないと考えています。自分たちとしてどうケイパビリティが上がっているのか。マーケットと関係ないところであっても、プロダクトがより良くなり、より競争力がついて、より良い人がいて、少しずつでも前進しているという感覚があれば、僕はいいかなと思っています。
そのためには「着実に」というのはなかなか難しくて、やっぱり何かチャレンジして、それでちょっとジャンプするということを常に目指して大きくなっていく必要があると思います。
今メルカリ、メルペイ、USの3本柱の事業をやってきて、それなりには結果が出てきているとは思います。しかし、それがマーケットではそこまで評価されていないということはあります。ですが自分たちの中では前進しているという感覚がすごくあるし、それを繰り返していくことで、どこかで評価も変わる。うちも(株価が)高いときもあったし低いときもありましたが、そこを繰り返していくことで、だんだん信頼が高まっていくんじゃないかと僕は思っています。