最終的には数字です。ちゃんと売上や利益が伸びてますと伝えることによってマーケットバリューはついてきます。IRは重要なんだけれども、自分たちとしてはIRでどうこうなるものでもない、実績がつけば誰も文句を言わないというところもあります。

でも株価が上がればさらにハードルが高くなるので、やっぱり常に出し続けるということかなと思っています。チャレンジし続ける組織にしていく、それがうちの言うGo Boldという話で、手堅くやろうとするとものすごく縮小均衡なサービスになってしまう。だから、失敗をめちゃめちゃして、でもちょっと成功するようなことをやっています。その成功がもっとでかければ、たぶん「このやり方いいよね」となり、次の段階に行けるんですが、まだそこまでは行けていないということですね。

新しいことをよりたくさんの人に提供するにはすごくいい組織

──一時期は、スタートアップで名の知れた起業家やエンジニアなどを次々に採用してきたことから、メルカリは「人材のブラックホール」とも言われていました。人の採用について、山田さんとしてはどう考えていますか。

今は当時の採用とは少し違ってきている部分もあります。まず、外国人がとにかく増えたということと、そこから昇格する人たちがすごく多くなっているということ。だから、「スタートアップの誰々が入社した」とかいうことは、今はあまりないです。

そういう意味では、スタートアップの人がワッと来てワッと新しいものをつくるというフェーズではなくなってきています。どちらがいい、悪いという話ではなく、「違う」ということです。だから、うちを辞めてスタートアップをやる人もすごく増えているんですよね。新しいことが好きな人はたくさんいるので、それはそれでいいと思います。

僕は財団(理系高校生を支援する、山田進太郎D&I財団)もスタートアップだと思っているのですが、今、僕も富島くん(メルカリ共同創業者で山田進太郎D&I財団理事の富島寛氏)たちと一緒に、新しいこととして財団をやっています。またインパクトのあるサービスの上で暗号資産をやりたいという人もいます。

「証券会社で株を買うような人が暗号資産を買う」というのが今の状況ですが、メルカリで(暗号資産サービスを)やればたぶん、一度も暗号資産を持ったことがないような人がビットコインを持つような時代を作れると思うんです。資産運用、あるいはひとつの資産の持ち方として、そういうことが普通の人にもできるサービスを提示しようとしていますが、そういう新しいことをよりたくさんの人に提供しようと思うと、うちみたいなところはすごくいい組織だと思います。