小嶋:そうなんです。普通に告知するのではなく、私らしいサプライズが必要だと思いました。House of Hermeのオープン時は、店頭やその周辺で小さな花束を配りました。包装紙は店舗をイメージしたデザインで、よく見るとHouse of Hermeのオープンの告知が掲載されていた、という仕組みにしてみたんです。

福田:このアイデアは、小嶋さんが考えたんですか?

小嶋:私が考えたり、みんなでアイデアを出し合ったりしました。Her lip toはECサイトをメインに展開するブランドなので、手元に届いたときに気持ちが上がる感覚を高めたいと思っていたんです。

このほかにも、通常のECなら黒いプラスチックのハンガーで届くところを、ベロア風素材のゴールドのハンガーで届けるサプライズを仕掛けてみたり。「たくさん揃えてHer lip toの世界観を作りたい」と言ってくださる方もいます。

福田:クリエイティブディレクターとしての腕はもちろんですが、お客様や世の中が何を求めているのかを瞬時に理解できているところ、その情報をもとに咀嚼して落とし込んでいくところがマーケターだなと感じました。洋服だけでなく、そこから派生するライフスタイルすべてをプロデュースする気持ちがあるんですね。

小嶋:私自身もオンラインショッピングが大好きなのですが、写真と少し違うものが届いてがっかりしたこともたくさんありました。Her lip toは、みなさまにハッピーを届けたい。そのために特にシルエットにこだわっており、例えばドレスはAラインやIラインなど、スカートはマーメイドシルエットの形が綺麗に出るようにしています。サイト上で見るよりも実物が届いたときのほうが感動するように意識して作っていますね。

また、過去には期間限定イベントでピザ屋さんとコラボしたこともありました。イベントスペースのちょうど下の階がピザ屋さんで「一緒にコラボしよう」ということになったんです。このように、アパレルの枠にとらわれず、異業種とのコラボも積極的にしています。

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福田:Her lip toのこれからを教えてください。

小嶋:難しい質問ですね(笑)。今は大きな目標を掲げていませんが、アパレルに関しては「お客様の気分が上がる瞬間を届けること」を引き続きやっていきたいと思っています。そして2021年からは中国チームを立ち上げ、販売をスタートさせました。今後はアジアでも拡大していくべく頑張っているところです。