小嶋:そうですね。チームのみんなは大変だったと思います(笑)。直前での意思決定は悪いことじゃないと、普段からチームメンバーには共有しています。SNSの時代だからこそ、直前のほうが幅が広がるかもしれないし、解像度が上がっているかもしれない。チーム内では「いろいろと直前で変わることが悪じゃない、むしろお客様のためになるかもしれない」という共通認識は持っています。

福田:House of Hermeだけでなく、2020年9月にはランジェリーブランドであるROSIER by Her lip toも発表しています。リリースには「女性らしさ、を選んでいこう」という言葉がありました。多様性を尊重する時代だからこそ、女性らしい服装やフォルムを選んではいけないと感じるときがあります。

それをあえて「選んでいいんだよ」と、女性らしさを選ぶことを肯定したい小嶋さんの姿勢がとても素敵だと感じました。

小嶋:「私がランジェリーブランドを出すことでどんなメッセージを伝えるべきか」と考えました。ROSIER by Her lip toのランジェリーを眺めながら、「今私が伝えたいことはこういうことだ」とひらめいたものが、その内容だったんです。本来の意図とは違う捉えられ方をする可能性もありましたが、普段から私の発信を見てくださっている方々には伝わると思い、勇気を出して発信してみました。

コミュニティ形成に活きているのは「サプライズ精神」

福田:3つ目のテーマは「熱狂的なコミュニティの作り方」です。Her lip toはSNSで「#herlipto好きな人と繋がりたい」というハッシュタグもできるほど、洋服を通じてコミュニティが形成されているように思っています。こういった状態を作り上げるための秘訣はありますか?

小嶋:何でしょうね(笑)。でも、販売を始めたころからSNSを通じてお客様同士が自主的にコミュニティのようにつながっていくように感じていました。今はSNSが生活の中にあり「リアルな友だちや会社の同僚にファンはいないけれどSNSの中にはいる」という理由で、つながりを広げようとしている人もいる気がしています。

AKB48時代からファンの人たちにサプライズを仕掛けるのが好きだったので、Her lip toもサプライズだったり、SNSの活用だったり、私にしか作れないアパレルブランドになるよう心がけています。

元アイドル経営者・小嶋陽菜氏のブランド論──「Her lip to」に熱狂的ファンが多いワケ

福田:サプライズと言えば、House of Hermeのオープン時も告知の仕掛けをしたと聞いています。