西川:そうね。みんなが自分のことを「経営チームだ」と思っている状態でした。

赤坂:自分が「経営チームである」という認識を持つのはいいことなんですが、悪い言い方をすると、会社にとって重要な意思決定において、同じ票数を持ってると考えてしまいます。

オフィスを移転するときに、その仕様をどうするか、家具をどうするかという話になったんです。僕はインテリアが好きなんですけども、「こういう家具入れよう。中古で安いから」と買ったものについて、「こんなのニトリでいいんじゃないの」といったことを言われたことはありましたね。

franky代表取締役CEOの赤坂優氏(右)、franky取締役COOの西川順氏(左)
franky代表取締役CEOの赤坂優氏(右)、franky取締役COOの西川順氏(左)

自分が必要ないと感じることはやらなくていい

赤坂:もう1つ、エピソードとしてしっかり覚えているのは五反田で、何かの帰り道に話していた経営理念の話です。西川さんに「赤坂くん社長なんだから決めていいんじゃないの?」と言われたんです。

当初、僕たちの会社には経営理念がありませんでした。そのことに対して現場からツッコミがありました。それで当時の僕は「経営理念を作らなきゃいけない」という強迫観念にかられてしまい、特段会社として何もまだない状態なのに無理矢理それを絞り出そうとしていました。

でも僕は自分に嘘をつけないから、無理矢理に、適当なもの考えることには意味がないと思い始めます。形骸化した理念を作っても意味がない。それをそのまま西川さんに言ったんです。

そこで西川さんが言っていたのが「そもそも今は売り上げのほうが重要であって、無理矢理に組織のルールを決めることに私はあんまり意味を感じない。それは従業員5名の今やることなんだろうか」という話でした。それで結局そのタイミングで理念を作ることをやらなくなった。あれは僕にとっては大きなことでした。

会社って教科書みたいなものがあると思っていたんですよ。名前を決めて会社を登記するように、会社の経営理念も決めなきゃいけないのかなと思っていたんですけど、「自分が必要ないと感じることはやらなくていいでしょ」っていうひと言をもらったことは、起業した当時の僕にとってはすごい重要なことでした。

サラリーマンとして出してきた結果と経営者になってから出す結果って全然違うんですね。創業1年目で、ほぼ結果がなく、自分からあふれ出る自信みたいなのもほぼないときに、自分が感じてることや考えていることをそのまま出してよかったんだと……1人で言い切ってしまいましたけど。

西川:これ難しいね。対談になってない(笑)。

赤坂:でも自信がないから起きたことっていうのはたくさんあって……僕らだけで(相談できる人も居なくて)不安だったと思うんですよ、あの頃。ヘッドカウントも足りない。自分たちのスキルも足りない。自信がない。だから誰かに頼らざるをえないって思ってスキルのある中途の人を採用しようとしたんですよね。