「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。「10年間苦しんできた慢性痛から解放された」「脊柱管狭窄症の診断を受けたが、痛みが和らぎ手術を回避できた!」「久しぶりにぐっすり眠れた」「健康的にダイエットできた」「更年期の不調が消えた」など、多くの声が寄せられています。
現在、国内・海外で約15,000名が実践。鍼灸、整体、ヨガを構成した動きで、痛み、コリ、冷え、疲労、不眠、便秘、不定愁訴を解消します。
今回、3分以内で痛みや不調を解決するワークを集めた『すぐできる自力整体』が発売。症状別の「悩み解決ワーク」のほか、じっくりほぐして骨盤調整もできる「4つのコース(動画つき)」を収録。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。
本書より一部を抜粋・編集し、その中身を紹介しましょう。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)
「ぎっくり腰」(急性の腰痛)が出やすい人の特徴とは?
「年が明けると、整体院には『ぎっくり腰』の患者さんが列をなす」
鍼灸師・整体治療家である私の父がよく言う言葉です。
父は1976年に鍼灸院を開業。評判となり全国から患者さんが集まるようになったのですが、その人たちは痛みをぶり返して再来院。結局、患者さんの生活習慣を正していかないと、リピーターさんは増えるばかり。
父はその時の経験をヒントに、自分でおこなう健康法「自力整体」を開発。ヒントを得るために、ヨガや断食を学び「自力整体」が誕生。現在70歳の父は、病院とは無縁の健康体です。背筋もまっすぐで、同窓会では同級生から「身長がまた伸びたか?」と言われる始末です。
そんな父が編み出した「ぎっくり腰」の予防・対処法はじつにシンプルです。
ぎっくり腰をぶり返す患者さんには、ある特徴がありました。それは暴飲暴食後に、ぎっくり腰など急性の腰痛が出やすいということです。ぎっくり腰や急性の腰痛は、前兆としてお腹にハリが出ます。腸の動きが停滞する時に、症状が出るからです。
ぎっくり腰になる流れはこうです。食の不摂生などで胃腸が弱ると、腸の左下の「S状結腸」に滞留便が溜まります。すると大腸の奥にある腸腰筋が緊張。左右どちらかの仙腸関節(背骨の下にある「仙骨」と、骨盤の左右にある「腸骨」が組み合わさる関節)が引っ張られ、はずれたようになり、痛みが出るというわけです。
対処法としては、3日間、朝昼晩「お粥」だけにして胃腸を休ませます。胃腸の疲れがとれた時、大量の滞留便が排泄。その瞬間、腸腰筋の突っ張りがゆるみ、腰の痛みは和らぎます。
体を立て直す「2つの習慣」
この3日間のお粥生活は、あくまで対処法です。
そもそも暴飲暴食をたまにした程度で、ぎっくり腰は現れません。慢性化している人は、骨格にゆがみがあったり、筋肉が緊張して、硬くこわばっていから。慢性的なぎっくり腰に悩まされている人は、体を根本から立て直していくと、この先安心です。
そこで役立つのが、「自力整体」と「整食法」の2つをセットでおこなう習慣です。
「整食法」とは、寝る3時間前までに夕食を終わらせ、朝食は固形物を控え、飲み物、スープ、おかゆなどにする自力整体でおこなう食事法です(※朝食はムリのない範囲でおこないます。つらい痛みや不調の改善、ダイエットしたい時に役立ちます)。
「整食法」は胃腸の休息時間を増やして、体を立て直すのが目的です。
日頃から、「自力整体」で体を柔らかくほぐし、「整食法」で体を内側から整えていけば、ぎっくり腰をはじめ、つらい体のトラブルを回避することができます。
体を立て直して、ぎっくり腰・冷え性を克服したDさんの成功例
「自力整体」と「整食法」の2つの習慣で、実際に慢性の「ぎっくり腰」を克服したDさんの成功例を紹介しましょう。
もともとガッシリ体型、身長は170cm、体重は81・4kg。ダイエットと慢性のぎっくり腰を克服するために、『すぐできる自力整体』の執筆時に募った、「自力整体ダイエット体験」にモニターとして参加。3ヵ月間、「自力整体」と「整食法」を実践していただきました。
<ぎっくり腰に悩んでいたDさん(50代・女性)の成功例>
Dさんは体が硬くガッシリ体型、冷え性で体温はいつも35度台。さらに「ぎっくり腰」の痛みを繰り返し、毎日のように鍼灸に通い、痛みをごまかしていました。
「自分の力で、この痛みを治せたらいいのに!」
そんな苦しい日々の中、自力整体のモニター企画に出合い、参加されました。
スタートしてから2ヵ月過ぎたころ、カチカチに硬かった体は柔らかくなり、体温も上昇して36度台をキープ。「硬くて、冷たかった体」から「あったかくて、柔らかい体」に変化。
すると、ぎっくり腰は現れなくなり、老廃物が流れはじめたせいか、顔や首まわり、ウエスト、脚のむくみがスッキリ。最終的に5・7kgの減量に成功されました。
3ヵ月が過ぎ、自分へのご褒美旅行に出かけたDさん。旅では豪勢な食事が続き、つい以前のように食べすぎてしまいました。すると家路に着いたころ、例の痛みが再発。胃の疲れから、ぎっくり腰をぶり返してしまったのです。
「食べすぎは、急性の腰痛につながることを体感できました……でも、予防法や対処法(三日間のお粥生活)も知っているので安心です!」とおっしゃっていただきました。
<Dさんへアドバイスしたこと>
3ヵ月間、見事にぎっくり腰の痛みが現れなかったのは、「自力整体」とセットで「整食法」も続け、胃腸への負担が軽減されたことが関係しています。固太りも大きな悩みだったDさんの課題は「冷え」でした。筋肉の血行不良から体が冷え、冷えから体を守るために防寒服として皮下脂肪がついていたのです。筋肉をほぐして血流改善、体温が上がったことが成功のカギでした。
最後に『すぐできる自力整体』の中で紹介している、腰まわりの筋肉の緊張をゆるめて、血流改善するワークをご紹介しましょう。
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約15,000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。
監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約15,000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗