この報告書によると、新たに174件もの不正が判明し、対象は国内で生産または開発中のすべての車に及んでいることが発覚した。すでに生産を終了している車でも不正が見つかった。
加えて、これらの不正が1989年から30年以上にわたって続いてきたことも判明した。弁護士主体の第三者委員会のメンバーの中で唯一技術関連に見識を持つ、元国交省技術安全部長で日本自動車工業会(自工会)常務理事も務めた中山寛治委員は、「メーカーとして『現地現物』がなされていなかった企業風土である」ことを強調し、ダイハツ幹部の責任の大きさを指摘した。また、第三者委員会は、特に14年以降に不正が急増しており、短期開発による現場へのプレッシャーが強まったことに関する経営責任を大きな要因とした。
報告書の公表を受けて、ダイハツの奥平社長は共同会見で、「不正の背景は、開発の短期化でプロジェクトを優先した結果であり、目が届かなかったすべての責任は経営陣にある」「現地現物で把握し、出直しが必要。法令順守を大前提に組織・仕組みを見直し、徹底した再発防止に取り組む」と経営の責任を認めて謝罪した。
また、トヨタの中嶋裕樹副社長は「14年以降、トヨタへの小型車OEM車種が増えたこともありトヨタとしても反省している。信頼回復に向けてトヨタもバックアップしていくが、ダイハツ再生への道は一朝一夕ではない」と、親会社としての責任と今後のダイハツ再生へ支援していく姿勢を明らかにした。