日野自の小木曽聡社長もトヨタでプリウスの開発責任者を務めた経験を持ち、ダイハツの奥平社長もカローラ開発責任者を務めた技術屋だ。また、いずれも不正が過去にさかのぼって行われていたことが露呈しており、長年の企業風土による不正だという印象が強い。
今後、国土交通省の立ち入り検査の結果次第で認証取り消し、型式指定取り消しという最悪の事態や出荷停止の長期化に陥れば、ダイハツの業績悪化、ひいては親会社トヨタの業績にも悪影響を与えることになる。さらに、トヨタグループの商用車におけるCASE技術・サービスの研究を担う「CJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」にはダイハツも参加し、トヨタ・スズキ・ダイハツ3社でBEVの共同開発も行っているが、その連携の見直しや日野同様CJPTからの除名もあり得る(日野自はその後復帰)。
日野自の不正は、三菱ふそうとの統合という予期しなかった大型車の再編に結び付いてしまった。
トヨタの豊田章男会長はスズキの鈴木修相談役をリスペクトしているし、軽自動車代表で自工会副会長も務める鈴木俊宏社長との関係もある。トヨタグループとして考えたとき、ダイハツの「解体的出直し」がスズキとダイハツの統合にまで結び付く可能性も、あながちあり得ないこととして想定されよう。
(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)