自分が知っているもので
ワインの香りや味を表現する
レストランでのワインは、料理との最高のマリアージュを楽しむもの。そのためには、ワインと料理を交互に口に運ぶのがコツである。
「まず、少しワインを飲んで口の中を湿らせます。次に料理を食べます。またワインを少し飲みます」
そしてワイン好きであれば、ワインのおいしさを言葉で表してみたい。香りや味という本能的な感覚を言葉にすることで、体験として記憶できるからである。
「香りは、リンゴの香りがするとか、子どもの頃おばあちゃんの家にあった漢方薬の香りだとか、自分が想像できるもので表現しましょう。そして同席者が理解でき、想像できる言葉で表現すると、共感してもらえて、素晴らしさや楽しさが共有できます」
本などにはしばしば「洋梨の香り」などと書いてあるが、洋梨を知らない人がこう言っても体験にはなりにくいという。
「味は、テイスティングでは、シルキー、輪郭がはっきりしている、口にふくめるとおだやか、などの言葉を使うことが多いですが、これもご自分なりの言葉で表現してみてください」
伊東さんに、いいワインを表現してもらった。
「スケーターが氷の上を滑るようになめらかな余韻が長く長く続く。いいワインは、余韻が途中でプツッと切れることなく、長く続きます」
このように借りてきた言葉でなく、自分が知っているもので表現する。これを繰り返すことで、ワイン体験が積み重なっていくのだ。
最後においしいワインを見つけるコツを教えてもらった。
「まずは、ご自分がどのような味わいのワインが好きなのか趣向を見つけてください。もし、しっかりしたボディのワインがお好きであれば、上品で世界最上のワインといわれるロマネ・コンティを飲んでも優しすぎて物足りなく感じ、落胆してしまうはずです」
反対に自分の好みの味を知っていれば、超高級でなくても満足できるワインを選ぶことができるというわけだ。
「最高のワインとは、飲み手に幸福感を与え、笑顔にさせるものだと思います」
ワイン体験を重ねれば重ねるほど自分の好みがわかり、幸福感を味わえる機会が増えていくのである。