「家族との関係がしんどいとき、どう付き合えばいいでしょうか」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
「家族がしんどい」は正しい
あなたは、「家族がしんどい」ということを思ったことはないでしょうか。
そういう考えを持つこと自体に「後ろめたさ」を感じる人がいるかもしれませんが、それは間違っていません。
ある人は、
「もともと1人が好きなんですが、最近は実家から離れて生活するようになって、家族や友人らとの関係も薄くなって、なんだかメンタルが安定してきた気がします」
ということを語っています。
人間が感じるストレスはほとんどが他人から与えられるものです。
どれほど仲の良い友人、家族であったとしても、育ってきた環境も異なるため別々の価値観を持っています。
そのため、ときに衝突したり、気持ちが落ち込むようなことを言われることもあるので、家族や兄弟や友人と一緒にいてもストレスを感じること自体はおかしいことではないでしょう。
そのため、他人を拒絶したり、かかわりを少なくしたほうが余計なストレスが減り、精神的に安定しやすくなったり生きやすいと感じることもあるのです。
「つながり」を持つためには?
ただ、人間が幸福に生きていくためにはある程度の「社会的なつながり」は必要です。
あまりに人との関わりが少ないと、孤独感を感じやすくなったり、気持ちが落ち込んだときに立ち直りにくくなるなどの弊害が生じる場合もあります。
そして、その役割を担うのが、「別に家族だけではない」という考え方ですね。
あなたと価値観の合う「家族以外の人」と関われることを優先させましょう。
趣味などを通じて交友関係を広められていければ、それほど問題はありません。
そのことに罪悪感を持ち続ける必要はないのです。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。