ハンムラビ法典は「目には目を、歯には歯を」の本当の意味は? ハンムラビ法典は「目には目を、歯には歯を」というフレーズで知られる。今は「やられたら、やり返せ!」という意味で使われることが多いが、本来の意味は少しちがう(写真はイメージです) Photo:PIXTA

近年、世界を取り巻く状況は目まぐるしく変化しています。現在進行中のウクライナ問題にしても、パレスチナ問題にしても、じつは歴史的背景を知っているかどうかで、理解度は大きく変わってくるのです。世界史はダイナミズムに満ちた壮大な物語、興味深いエピソードの宝庫です。もちろん、「大人の教養」としても、世界史の重要ポイントくらい頭に入れておきたいもの。『読み出したら止まらない 世界史の裏面』(青春出版社)から、興味深い世界史のエピソードをご紹介します。

古代ギリシアの彫刻群が
大英博物館に大量にそろっている理由

 世界最大を誇るロンドンの大英博物館には、「エルギン・マーブル」と呼ばれる古代ギリシアの彫刻群を展示した一角がある。

 エルギン・マーブルは、アテネのパルテノン神殿を飾っていた大理石のレリーフや彫刻のコレクションで、大英博物館の超目玉展示物。このコレクションを「エルギン・マーブル」(マーブルは大理石のこと)と呼ぶのは、今から約200年前、これらをアテネからイギリスに持ち込んだのが、エルギン伯(1766~1841)だったからだ。

 エルギン伯は、大英帝国の在トルコ大使をつとめていたとき、当時オスマン帝国の支配下にあったギリシアを訪れて、パルテノン神殿を目のあたりにした。パルテノン神殿は、オスマン帝国の弾薬庫として利用されていた関係で、ヴェネチア軍の砲撃を受けて大破していたが、それでもその美しさは失われていなかった。