地震保険は、建物だけでなく家財も忘れずに

 平時からの備えとなるのは、やはり地震保険への加入だ。地震保険は、地震や津波、噴火で住まいが損害を受けた時に支払われる。地震が原因で火災が起きた場合も同様で、能登半島地震では輪島市で大規模な火災が発生したが、この場合でも火災保険だけの加入では原則として保険金の支払い対象にならない。

 地震保険は火災保険とセットで加入するものだが、2022年度時点(速報値)で全国付帯率は69.4%。輪島市は68%、津波被害が甚大だった珠洲市は75.8%だ(損害保険料率算出機構データより)。

 ただし、地震保険の補償額は火災保険の30~50%までのため、再建費用をこれだけで賄うことは難しい。公的な「被災者生活再建支援制度」では全壊した建物を再建したとしても、支援金は最高で300万円までだ。また、建物の修復以外にもお金がかかる。

 損害保険料率算出機構の資料によると、家具・家電等の購入など生活再建のための費用が100万円以上かかったというケースが約7割を占める。自然災害の被害というと、住まいそのものを考えがちだが、建物だけでなく家財にも保険を掛けることを忘れてはいけない。(掛けられる地震保険の上限は、住宅が5000万円、家財が1000万円)。

 家財に保険を掛けるのは、手元に使えるお金を少しでも多く確保するためとの意味もある。先ほど書いたように、地震保険の補償額は最大50%まで。そこに家財の保険金を加えることで、受け取れる金額を増やすことができるからだ。

 保険金は使い道が限られているわけではないので、被災後の生活再建のために充ててもいい。「うちには高級な家具もないから…」などと考えるのは平時の発想であり、有事は1円でも多くのお金が必要になる。適正な金額の保険をかけることがいざという時にわが身を守ってくれる。