上司がしっかり“聞く”ことができると、部下は“私の話を受け止めてくれる人だ”と思い、好感を持ち、信頼を寄せます。そうなるとマネジメントがスムーズに行えるようになります。信頼できる経営者や上司の下でなら、働き続けたいと思うようになります。

全ての業務を止めて
「1日15分」話を聞く

 Z世代の部下のことを、「何を考えているのか分からない」と嘆く上司がいますが、彼、彼女たちの話を、心から聞くことで、よく理解できるようになります。そこで、まずは5分でよいので、“100%”部下の話を聞くことを試みてください。

 100%とは、何か別の業務をしていたとしても、全ていったん止めて聞くことだけに集中するということです。「そんなことを言われても、こなさなければならない業務が山積みだし、そうでなくても時間がないのにできるわけがない!」と思われる方もいるかと思います。

 でも、仮にあなたが部下の立場だったとして、パソコンやスマホのモニターを見ながら、もしくは、他の作業をしながら聞いている上司に話をすると、どんな気持ちになるのか想像してみてください。「ちゃんと聞いてくれていない」「自分の話は二の次なのか……」と思い、寂しい気持ちになるでしょう。そうなると、信頼関係を築くことはできません。

 部下との話は、特別なケースを除き、報告や簡単な質問であれば1~2分で終わる場合が大半です。それに受け応えをしても5分程度で会話は完了します。それくらいの時間であれば、手を止めて、部下の話をしっかり聞くほうが、情報も入りますし、人間関係も良くなるので、得るものは大きいと私は考えます。

 しかしながら、締め切り間際の仕事を抱えていたり、急を要する業務があったりする場合は、無理に手を止める必要はありません。その場合は、いつであれば、じっくり話が聞けるのかを伝えれば、相手はそのことを理解してくれます。その後、お互いにストレスなく会話することができます。