アップルに続きテスラも不安視されるわけ

 今後、アップルがどのような新製品を発表するかが、中長期的な同社への成長期待に大きく影響する。求められるのは、いまだ具体的な形になっていないモノを世に送り出し、人々のニーズを先取りし、創り出すことだ。

 アップルは1月8日、「Vision Proを2月2日に発売する」と発表した。まずは米国の直営店やオンラインストアで販売する。記憶容量256ギガバイトで3499ドル(約50万円)から。問題は、世界でゴーグル型端末がどれくらいニーズを集められるかだろう。

 メタやソニーも類似の製品を発表したが、ゴーグル型端末がスマホに代わるAIデバイスの地位を確立するには至っていない。ゴーグルを装着するわずらわしさ、価格の高さなどがネックになっていると考えられる。

 知的財産の利用に関するリスクも高まった。Apple Watchの販売一時停止は、血中酸素濃度測定の技術が他社の知的財産を侵害している恐れがあることを示した。ヘルスケア分野で収益拡大が実現するか、先行きを警戒する投資家も増えた。「米司法省が、独占禁止法違反でアップルを提訴する検討をしている」と報じられたことも先行き懸念を高めた。

 一方で、アップル以外にも成長力が不安視される銘柄が出てきた。中国BYDの急速な追い上げによって、テスラのEV世界トップ企業としての座が危うくなっているのだ。中国などでのリコールや、欧州でEVに対する販売補助金などを見直していることも、テスラにとっては懸念材料だ。

 今後、アップルやテスラの成長力への懸念が増すようだと、マグニフィセント・セブンを筆頭としたIT銘柄を中心に、世界的に株価調整リスクが出てくるかもしれない。その場合、リスク削減に動く投資家は増え、世界経済が減速することも考えられる。