短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を研究してきた人物がいる。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。注目の最新刊『チームX(エックス)』は「世界的にみても極上レベルのビジネス書」(神田昌典氏)と評され、デビュー作『売上最小化、利益最大化の法則』は「20年に一冊の本」(人気会計士)と絶賛された。そして今、「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題となっているのがベストセラー『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。本稿では【がっちりマンデー!!】SNSで「ニトリ」似鳥会長と「食べチョク」秋元代表から「2022年に読んだオススメ本3選」に選抜された本書から一部を抜粋しながら、「最短時間で最大の成果を出す方法」を紹介する。

【好き嫌いは7:3の法則】が国民的歌手にも当てはまる理由

国民的歌手にも当てはまる法則

 前回、「人の感情にふりまわされなくなる【好き嫌いは7:3】の法則」を紹介した。

 では、「誰からも好かれている人気者」の場合はどうだろう。

 ここでも「7:3」の割合は変わらない。

 だが、芸能人の場合、強烈なアンチがいる場合がある。

 国民的人気歌手のAさんは、自ら作詞・作曲したすばらしい歌を数々ヒットさせている。

 これは単に才能だけでなく、ストイックに自分を追い詰め、次から次へと作品をつくり出す努力によるものだろう。

 気さくな性格で好感度も高く、スキャンダルも皆無で、国民的人気を確立した。

 そんな人を嫌う人なんていないだろうと誰しも思う。

 でも、やはりアンチはいるものだ。

友人とBさんの会話

 私の友人の友人(Bさん)がレコード会社に勤めていて、Aさんの担当だった。

 友人が「Aさんの担当なんてうらやましい」と言うと、Bさんは

「私の前でAさんの名前は出さないで! 彼の名前を聞くと胃が痛くなる」

 と言ったそうだ。

友人:どうして?

Bさん:Aさんは確かにすばらしい人だ。出す作品、自分のキャラクターについて信念に基づいて徹底的にこだわり、一切の妥協がない。だから毎回あんなにいい作品ができる。

友人:すばらしいじゃないか。じゃあ、なんで彼の名前を聞くと胃が痛くなるの?

Bさん:それをまわりにも求めるんだ。彼の作品は彼が中心となってつくるが、決して一人でできるものではない。私も含め、周囲の人も彼の作品づくりに熱心に携わる。
 しかし、彼は我々スタッフにも完璧を求める。我々が徹夜でつくり上げたものでも、彼の求めるレベルに届いていなければ、何度もつくり直しを命じる。
 何度も「もうこの人と仕事はしたくない」と思ったものだよ。

友人:ちょっとひどいね。

Bさん:だからこそAさんは成功してきた。我々に気を遣って、妥協した作品をつくったら、ファンへの裏切り行為だし、今の地位は得られなかっただろう。
 それがわかっているスタッフは、どんなことがあっても彼についていく。
 私も胃が痛い思いをしながらも一応ついていっている。
 でも経験の浅いスタッフの中には、彼の悪口を言ってすぐ辞めていく人もいるんだ。

 この場合、Aさんは若いスタッフに気を遣い、嫌われないようにすべきだろうか。

 そうすることで、質の低い作品しか生み出せなくなり、今まで培ってきた多くのファンや地位を手放すことになるかもしれない。

 スタッフの「嫌い」を減らすと、ファンからの「好き」が減ることになる。

(本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)