日本の産業構造の変化とともに、学生の人気業種も様変わりしました。1993年度には、大学生の就職先業種は製造業が26.1%、サービス業が25.4%で、第二次産業と第三次産業に大きな差はありませんでした。しかし、2021年度は製造業が10.1%、サービス業が35.6%と、後者が3倍以上に増えています。(出典:文部科学省学校基本調査)

 インターネットを中心に、30年前には見られなかった新しいサービスが次々と台頭し、技術の進化も目まぐるしい昨今。保護者世代から見て子の就活先が「知らない業界・会社」と映るケースは、これからますます多くなっていくでしょう。

 社会構造の変化としては、共働き世帯が一般的になり、特に2000年以降はその傾向がより顕著になっています。以前は「男性は仕事、女性は家庭」という男女の役割分担が顕著で、世帯としてワークとライフのバランスを図っている家庭が多かったでしょう。現在は、働き方の変化に伴い、男女での役割分担ではなく、個人でワークライフ・バランスを考える時代の新しい働き方の設計が必須になっていると考えられます。

就職先の決め手は
「自らの成長が期待できる」かどうか

 今の子世代は、低迷する経済状況の中、度重なる災害やコロナ禍を経験しています。「すぐ先の未来がどうなるかわからない」という不安の時代を生き、終身雇用、年功序列はなくなりつつあります。就活においても、安全・安心・安定を1つの会社だけに求められない。そうした危機感は、保護者世代よりも強くなっているでしょう。

 そのため、社会の変化に対応できる力をいち早く身につけたいと、企業を選ぶ視点も多様化しています。24年卒の民間企業への就職確定者に、就職先を確定する際に決め手となった項目を聞いたところ、トップが「自らの成長が期待できる」が50.9%でした。次いで、「福利厚生(住宅手当等)や手当が充実している」「希望する地域で働ける」「会社や業界の安定性がある」「会社・団体で働く人が自分に合っている」が上位を占めています。

「人生=仕事」ではなく、「仕事は人生の一部」と捉え、全体的なワークライフ・バランスを考えて仕事を選ぶ学生が増えており、成長実感などのやりがいとともに、働きやすさを求めていることが読み取れます。

 保護者の皆さんは、「自分たちの就活していたときとはこれほど状況が違うのだ」ということを頭に入れて、お子さんの就活を見守っていってほしいと思います。