その代わり、単日開催などのイベントや説明会など、一定の要件にあてはまらないプログラムをインターンシップと呼称することは認められず、これらは「タイプ1:オープン・カンパニー」「タイプ2:キャリア教育」といった名称で開催されることになります。キャリア教育は、大学などが主催する授業や産学連携プログラム、企業がCSRとして実施するプログラムなどを指します。

 また、26年卒向けからは、春休み以降に実施される一定の条件を満たす、2週間以上の専門活用型インターンシップに関しては、そこで得られた学生の情報を、3月から選考に活用してよいという形になり、6月以前のタイミングから採用選考プロセスに移行できるようになっています。

オンラインとリアルのハイブリッド化へ
コロナ禍から徐々に増え続ける就活費用

 就活にかかる費用からも、就活のあり方の変遷を見ていきましょう。

 24年卒学生が6月12日時点で就職活動に使用した金額は、平均して8万2,905円でした。23年卒から7,660円増加しており、「交通費」「被服費」「宿泊費」の項目で、平均金額が増えています。背景にあるのは、就活の「対面回帰」です。説明会・一次面接・最終面接の参加形態を見ると、24年卒では23年卒と比べて「オンラインのみ」で参加した割合がどのプロセスにおいても減っており、対面での選考機会の増加が、費用増につながっていることが読み取れます。

 ただ、コロナ禍で社会全体に広がったオンライン化は、就活においても定着しています。コロナ以前の20年卒の就活にかかった費用は平均で12万8,890円であり、オンラインの選択肢がなかったときには、今より3割近く多くの費用がかかっていたことがわかります。学生はこれからも、オンラインをうまく使い分け効率化を図りながら、学業やプライベートの時間の確保につなげていくでしょう。

保護者世代とは一変!
学生を取り巻く経済・社会状況

 次に、時代背景や環境変化に視野を広げ、保護者世代と子世代の違いを考えてみましょう。

 まず、マクロデータで見たときに、保護者世代と子世代では大学の進学率や就活時の経済状況が決定的に違っています。たとえば、1988年の大学進学率は25.1%でしたが、2021年には54.9%と、半数以上が大学進学する時代になっています(出典:文部科学省学校基本調査)。

 また、1974年から1990年度の経済成長率の平均値は4.2%でしたが、2005年から2021年度の平均値は0.44%と圧倒的な差があります。大卒求人倍率もその影響を受け、リクルートワークス研究所の調査では、1992年3月卒では2.41倍となり、社会で「超売り手市場」と言われていたころから、2024年3月卒では1.71倍に。高い水準を推移しており、いまも学生にとって優位な状況ではあります。ただ、保護者世代の当時と比べれば、求人倍率は大きく変わっていることがわかるでしょう。