皇室の担い手不足を
解決する抜本的対策

 日本では、秋篠宮家以外では、天皇、皇后両陛下と愛子さま、高齢の三笠宮妃殿下、三笠宮信子さま、彬子さま、瑤子さま、それに高円宮久子さまに三姉妹のなかで独身の承子さましかいない。さらに、雅子皇后の体調がゆえに平成時代に比べて両陛下の活動は控えめにならざるを得ないなかで、公務の担い手不足は深刻だ。

 また、キャサリン妃も紀子さまも心労のたねがつきない。

 キャサリン妃はメーガン妃による攻撃の主たる対象で、なにを暴露されるか心配で悩まれたのだろう。それに加えて、母親のキャロル・ミドルトンさんの会社が破綻して債権者から厳しい批判を受けているのも心痛のタネだ。

 一方、眞子さん騒動は、下火になりつつあるが、マスコミやSNSで、秋篠宮家は現在も誹謗(ひぼう)中傷の的だ。秋篠宮家に全く問題がないとは言えないかもしれないが、少なくとも殿下は節約マニアでワーカホリックといってよいほどで、ぜいたくだとか、ノブレス・オブリージュに欠けるというのは見当外れの批判だろう。これでは、紀子さまの心労もひどくなるばかりである。

 にもかかわらず、長期にわたる秋篠宮家攻撃の急先鋒で、紀子さまの心労のかなりの原因を提供してきた週刊『女性自身』が、今回の事態に反省するどころか、「紀子さま “原因不明”のご体調不良…宮内庁で囁かれる『悠仁さまとの意見対立』」というタイトルの記事を載せている。

 記事では「これまでの紀子さまのご姿勢や、強い症状を鑑みれば、悠仁さま関連の問題であるという説が最有力なのです。悠仁さまは今年9月に成年皇族になられ、また大学ご進学も控えられています。“将来の進路”についても明確にしていかなくてはならない時期ですが、親子間でご意見が対立されているのではないかと……」などと書いているが、単なる邪推であって病人に対する配慮にも欠けている。

 それでは皇室の担い手不足をどうすればいいのかだが、抜本的な対策としては、現在、国会で進められている皇室の今後についての議論の出発点になっている、皇位継承についての有識者会議(座長・清家篤元慶応義塾長)が提唱する「結婚後の女性皇族に皇族身分を維持させる」とか「旧宮家の男子を皇族の養子にする」などの提案を実現すべきだ。

 ただ、制度改正をしなくても、黒田清子さんや高円宮家出身の千家典子さん、守谷絢子さんとか、旧宮家の方々に、宮内庁嘱託とか参与といった形で、公務を事実上、分担してもらえばいいと思う。

 海外では、王族かどうかなどの厳密な線引きはない。それゆえ、皇室にゆかりのある方が、冠婚葬祭や就任式などに参加されてもなんの違和感もない。国内でも社寺の行事への参加、スピーチ代読など、宮内庁の役人が行くよりよほど喜ばれるし、さらには、外国のVIPが来たときの晩餐(ばんさん)会への参加など、皇室関係者の数をそろえるためにも有益だ。

 報酬については、常勤ないし非常勤で採用してもいいし、個別機会ごとの支払いでもいいだろう。

 こうしたかたちでの皇室行事などへの参加は、結婚した女性皇族が皇室との絆を維持しながら生計の道を立てることや、有識者会議の報告で具体化が提案されている旧宮家の養子候補の適任者を探すための準備としても活用できると思う。

(評論家 八幡和郎)