プログラミングや、資格の勉強は
ChatGPTを使って効率的に

 藤本さんが勉強を始めたのは、2021年。当時はIT資格といえば、参考書か勉強会、YouTubeの解説動画などで学ぶのが一般的だった。しかし、ChatGPTの登場で、学習法にも変化があったという。

「ChatGPT以前は、プログラミング言語の参考書を見ながら、その通り繰り返しやってみることで習得していました。今は、体系的に学びたいならともかく、今すぐ業務に役立てたいなら参考書にとらわれなくてもいいと思います。ChatGPTは、スクリプトの意味を解説してくれますし、『こういう目的でデータを加工したいんだけど、そのためのスクリプトを書いてください』などとお願いすれば、書き方も教えてくれます。基礎が大幅にショートカットできるようになっているんです。ChatGPTを使わないなんて、もったいない」

 また、ChatGPTを使えば、プログラミングを勉強しなくても欲しいアプリが開発できてしまうという。藤本さんは、Pythonに関しては未習だというが、ChatGPTを使い、Pythonで会議音声を文字起こしして要約するツールを開発した。

「素人なのに4時間ほどで作れてしまいました。私は、ChatGPTが書いてくれたコードを少しずつ修正していっただけです。ただ、社内のPythonが得意なエンジニアに改修してもらったところ、より使い勝手の良いツールに仕上がりました。ChatGPTで良い線まではいけたとしても、結局はこれまで培ってきた知識と経験がものをいうのだと実感しました」

教えてもらって伸びる人と伸びない人、
その差を生み出す要因とは?

 社内でもロールモデルになりつつある藤本さんは、今や自分の学びにとどまらず、100人を超える社内IT勉強会の運営も担っている。自分だけならともかく、社内に勉強する文化を根付かせるためのポイントは?

「そもそも何も学びたくない、新しいことは一切したくないという人の方が、実は少ないのではないでしょうか。以前の私と同じように、勉強したい、スキルアップしないと不安という気持ちは潜在的にあって、きっかけと学習環境さえあれば始められる人は多いのです」

 同じ勉強会に参加しても、「身に付かない人」「教えたことを教えた通りにできる人」「教えた以上にできるようになる人」がいる。その差はどこから生まれるのだろう?

「伸びる人は、学んだことを自分の業務に応用してみるなど、必ず何らかの形で復習をしています。社会人になっても復習って本当に大事。そういう姿勢は周囲にも良い影響を与えますし、教える方もモチベーションが上がります。好循環ですよね」

 一方で、この好循環を維持するためにも、参加は希望者のみとし、やる気のない人を無理に巻き込まないことが重要だという。