日本のパワー半導体メーカーが反転攻勢に打って出る。経済産業省の支援で、ロームと東芝が連合を組んで4000億円規模の投資を決めた。約1300億円の補助金を獲得して企業連合で勝負を懸けるが、ダイヤモンド編集部の取材で、これに続く「新連合」の存在が明らかになった。特集『狂騒! 半導体』の#3では、トヨタ自動車を巻き込んで、国内パワー半導体の勢力図を塗り替えようとしている新連合の実力に迫る。(ダイヤモンド編集部 村井令二)
経産省の後押しでローム東芝の連合形成
これに続く“第2陣営”の存在が明らかに
2023年12月8日、ロームと東芝は経済産業省の補助金を活用して、電気自動車(EV)などの電力制御を担うパワー半導体の共同生産に乗り出すと発表した。事業総額は3883億円で、このうち1294億円を経産省が補助する。
ロームは24年中に稼働する予定の宮崎第2工場(宮崎県国富町)で、電力効率が大幅に優れる炭化ケイ素(SiC)を使った先端品のパワー半導体を生産する計画だ。東芝は加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)の工場を拡張して、24年度中にシリコン製のパワー半導体の増産に入る。
日本を代表するパワー半導体メーカー2社の連合で巨額投資に打って出るが、ダイヤモンド編集部の取材で、もう一つの企業連合が「第2陣営」として共同投資の協議を進めていることが分かった。
次ページでは、ローム・東芝連合に続いて、国内のパワー半導体の勢力図を塗り替えようとする新連合の存在に迫る。