東大生の就職先としても注目され、人気が高いコンサルティングファーム。一流のファームでは、どんな採用基準で人を見ているのか?『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』の著者であり、コンサルティング業界に特化したエージェントとして、17年間転職支援をしてきた久留須 親(くるす ちかし)氏に、その傾向の変化を聞いた(書籍から一部を抜粋・編集して掲載しています)。
コンサルファームに転職してすぐ成果が出せる人とは?
コンサルティングファームに入社してしばらくは、とにかく失敗を恐れずに仕事をしてください。特に最初の数ヵ月はボーナス期間ですので、失敗をしても許されます。この間にたくさん失敗して、多くのことを学んだほうが、結果的に立ち上がりが早くなります。
人は誰しも、初めてやることを最初からうまくできるわけがありません。自転車にしても、水泳にしても、最初は誰でも失敗します。失敗から学んでできるようになっていきます。コンサルティングも同じで、初めてコンサルティングをやる人が、最初から失敗なくうまくできるわけがありません。他のコンサルタントも過去には皆、失敗を経験し同じ道をたどっています。
失敗から学ぶことはとても多いです。失敗を恐れず思いきり仕事をして、失敗したらしっかりと振り返り次に活かしていけば、間違いなく学びがあり、成長もします。
おそらく多くの転職者が失敗を恐れるのは、事業会社が「失敗が許されないカルチャー」だからだと思います。事業会社の仕事は、組織や業務が細分化されており、マニュアルがありますので、その通りにやれば失敗しないようにできています。そのため、失敗するということは、業務やマニュアルをきちんと理解していなかったり、「うっかり」が原因だったりします。その結果、能力やスキル的な問題ではなく、取り組み姿勢ややる気の問題とみなされることになります。
しかし、「失敗」と「無謀」は別ですので気をつけてください。上から頼まれたタスクを、どうやればいいかが全くわからないのに安易に引き受けるのは「無謀」です。できると思ってやってみたもののなかなか期待通りにできないのが「失敗」です。
プロフェッショナルである以上、このラインは明確にしておきましょう。頼まれたタスクができそうにないときは、素直に「できない」「わからない」といったほうがいいです。むしろそのほうがマネージャーは助かります。できもしないのに「できます」と安請け合いされた結果、ふたを開けたら全くできていなかった……これだとプロジェクトの進捗に大きく影響し、目も当てられない状況になってしまいます。それよりも、「できない」といわれたほうが、他の進め方を考えられますし、それでも任せたとしても適宜フォローをすることができます。
「できる」「できない」のラインを把握しつつ、失敗を恐れずに難易度が高い仕事に挑戦することで、結果的にコンサルタントは成長していきます。
(※本記事は、『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』から抜粋・編集したものです)