今回の提携は、3月13日夜にテレビ東京の「WBS(ワールドビジネスサテライト)」が「日産がホンダとの協業検討を開始することを12日の取締役会で決めた」とのスクープを打ったのが初報だった。そして、一気呵成(かせい)の提携検討の覚書締結と両社トップの会見に流れていった。

 会見では、「1月中旬に両社の話し合いから始まり、まずはフルオープンにして具体的な議論を進めることになった」(三部ホンダ社長)、「課題認識は共有、思いも共有し、具現化するために時間はあまりない。スピード感を持って進める」(内田日産社長)という発言があった。まさに新興勢力が台頭する中で、スピード感を相当意識している証左といえる。

 いずれにしても、この日産・ホンダ新連合の行方次第では、自動車産業の新たな合従連衡につながることになるだろう。

 日産は長きにわたる仏ルノーとの資本関係を見直したばかりだが、傘下の三菱自動車を含めた3社連合と新たなホンダ提携とをどうかみ合わせるのか、ホンダも米ゼネラル・モーターズ(GM)との提携関係がある中で、日産との新提携をどう整合させるか、という点で解消すべき課題を抱えている。

 一方で、日本の自動車産業という観点からは、トヨタ自動車がグループ化を強め資本提携を行っているスズキ・マツダ・SUBARU・ダイハツ工業らのメーカー連合に対して、日産・三菱自・ホンダの新連合が対抗軸となり、2陣営に集約されることになるのか、ということも注目のポイントだ。

 資本提携については両社トップとも「現時点ではない」としながらも、将来の可能性を含ませるような発言を示している。その点では、20年にホンダ・日産の統合の話が一時流れたことが思い出される。