「もしトラ」対策では
中国との綱渡り外交も覚悟
「もしトラ」対策を万全にするためには、一方で中国への対策も必要です。トランプ氏が台湾を救援しないという疑念がある以上、日本にとって中国は危険な軍事大国であり、逆に経済的にはますます重要な国になるからです。
中国は習近平政権になって、数々の失敗を犯しました。第一の失敗は、不動産など経済政策の失敗。中国が経済破綻すると日本経済も大きな影響を受けます。バブル破綻のときの経験を、民間人を中心とした経済外交で徹底的に指導する。これは中国に有益でしょう。
第二の失敗は香港の大陸吸収です。これによって、英国はじめ欧州が疑念を募らせ、一帯一路戦略は破綻しました。大陸中国に投資するリスクを回避して香港に投資されていた外貨が、シンガポールに移りました。もはやアジアの金融センターは香港ではなくなったのです。
そして第三の失敗は、国家安全法を拡大化して外国人が在留するリスクを大きくしたことです。以上3つの失敗は、中国経済の未来を不透明にし、外資が投資される可能性を減らしました。
日本はこれに乗じるべきです。末次一郎方式で、国が中国対策をする必要はありません。沖縄県知事が台湾に行き、台湾に亡命している香港の若者を沖縄で受け入れ、特区を作って、自由に動けるように工作するのも一つの手段です。香港の大金持ちの海外資産を沖縄に蓄積させるのです。実際、香港のジャンヌダルクと言われる周庭さんがカナダに留学生として出国したように、中国はまだ香港からの亡命に本当の厳しい措置をとっていません。
沖縄県自体が積極的な応援をしなくても、先人はいい教訓を残してくれています。明治期、アジアの国々が植民地化されている時代、全くの民間人である宮崎滔天が、中国革命の父・孫文や、フィリピン独立の志士・エミリオ・アギナルドを日本で匿いました。日本と米国は、韓国とフィリピンをお互いの領分とする秘密協定を結んでいたので、日本がアギナルドを公に守ることはできません。民間人が、多くの反植民地、独立運動の運動家を養い、守り、亡命させることに奔走しました。
彼の功績は日本より海外で評価されています。当時の教訓を生かし、秘かに政府が後押しし、中国の自由化を担う人材を日本で匿う仕組みをつくり、習近平の弱点を握っておくのです。