「海外警察」という、国外で中国人を取り締まるとんでもない秘密警察を作ったことも失敗だったと、中国に悟らせることが必要です。パスポートの名義が外交官であっても、空港で中国人入国者と出国者の写真は撮影することができます。すべて顔認証にかけられるようにして、徹底的な海外警察官狩りを行い、不法に逮捕拘禁されている日本人との交換交渉を行うなどして、日本は侮れないという印象を中国の脳裏に焼き付けるのです。
今の日本で軍備を増強しようにも、自衛隊員になる若者さえ少なすぎます。自衛隊はまだ軍隊ではないので軍事法廷はなく、敵前逃亡罪さえない状態です。自衛隊の実際の戦闘能力にはかなり疑問があります。まずは必ず起こる震災を仮定し、憲法の緊急付帯条項で私権制限の壁を撤廃し、将来的に中国の台湾侵攻など国家存亡の危機が生じた場合は、その緊急事態が戦争状態も含むと代替で解釈できるように、今から法律を整備していくことも必要です。
ウクライナ戦争後が
日本の強国化を実現するチャンス
さて、最後に重要な点に触れます。前述のように、トランプ氏の再選でウクライナへの武器・資金援助が途絶えることがきっけかとなり、ウクライナがロシアと停戦した場合、国連監視軍には日本も必ず参加して、かつての北方領土で起きたような、占領地域におけるロシアの身勝手な横暴を防がないといけません。
そして、国連の解体と新国連の成立をグローバルサウスとも連携しながら進めることです。中国・ロシアが安保理常任理事国であり、拒否権が発動できる以上、国際社会ではどんな無茶な要求も通ってしまうことが、ウクライナ戦争を通じて改めてわかりました。「紛争の当事者国はたとえ常任理事国であっても拒否権は認めない」という条項があれば、ウクライナ戦争で国連軍を結成することができ、ロシアによる虐殺を防ぐことができたでしょう。
ガザの例も同じです。今こそ、国連軍に日本が参加するということを目玉に、国連改革を主張するいい機会です。「もしトラ」を恐れているばかりではいけません。むしろそれを逆手にとって、黒船来航以来となる日本の近代化、強国化のきっかけにする術を国民全体で考えましょう。
(元週刊文春・月刊文芸春編集長 木俣正剛)