さらに、先ほど触れた通り、3月15日には日産とホンダが戦略的提携の検討を開始すると発表し、内田日産社長と三部敏宏ホンダ社長がそろって記者会見を開いた。

 この流れが日産の新中計発表にもつながったといえる。それというのも、この3月末までの「Nissan NEXT」は、ゴーン元会長退任後の経営陣の混乱とゴーン拡大路線のツケによる業績悪化からの立て直し、つまり日産再生に向けた事業構造改革がその本質だったが、一方でこれまでにはコロナ禍や半導体不足による生産減少、EV化加速の風向きの変化といった著しい外部環境の変化も生じている。つまり、「複合的な新たな展開が進んでいることへの対応」(内田社長)が求められてきていることが、新中計の内容に結びついている。

 そもそも、本来なら「Nissan NEXT」に続くこの新中計は、昨年秋にも発表される予定だった。それが半年も遅れて新年度直前となったこの時期になったのも、日産を取り巻く状況や内部経営体制が大きく変わったことが影響しているだろう。

 今回、新中計のプレゼンは内田社長が一人で担当し、質疑応答では内田社長を含め4月1日付の新EC(エグゼクティブ・コミッティー)10人が勢ぞろいした。

 ここで注目したいのは、内田体制スタートとともに内田社長の右腕として支えてきたルノー出身のアシュワニ・クプタCOOが昨年6月の株主総会後に突然退任しCOOが空席となっているものの、ポスト内田の人材が見当たらなかったことだ。

 振り返ってみると、日産の2010年代末からのここ5年間は激変・激動の時代だった。長期政権で日産を牛耳ってきたゴーン元会長の突然の逮捕(2019年11月)に加えて、ポストゴーンの西川廣人元社長の退陣で、19年12月に日産再建を担って白羽の矢が立ったのは当時中国・武漢駐在の中国担当だった内田誠氏だった。商社の日商岩井から日産に途中入社した内田氏だが、社長就任時は経営の混乱が続き、業績は大きく悪化している中で、日産再生には厳しい試練が待ち受けていた。