時代ごとに進化する素材と製造法
金剛力士像は3000のパーツから成る“寄木造り”
【ポイント3】製造法は「石造」「金属造」「塑造」「乾漆造」「木造」の5種類
6世紀、朝鮮半島の百済経由で日本に仏教が伝来した。経典と仏像がもたらされたのである。
「このときの仏像は金銅で、お顔がきらきらと輝いていたと『日本書紀』にあります。金銅は、青銅の像の上に金メッキをほどこしたもので、奈良の大仏も金銅です。飛鳥時代の後期、いわゆる白鳳時代からは塑像という土製の像が造られました。さらに奈良時代には、麻布と漆の脱乾漆造という製法も行われました。興福寺の阿修羅像が代表作です」
そして平安時代からは木像仏が現れ、主流となっていく。当初は一本の丸太から一体の仏像を彫り出す一木造(いちぼくづくり)だったが、パーツごとに造って組み合わせる寄木造(よせぎづくり)が編み出された。
「鎌倉時代初期の運慶は、私が好きな仏師の一人ですが、寄木造の傑作・東大寺の『金剛力士像』も彼の作です。8.4メートルの像高で、約3000ものパーツを組み合わせていて、顔の表情や隆々な筋肉に浮き出る血管など、リアル感満載の迫力ある傑作です」
このように仏像の素材は、石・金属・土(塑)、漆と麻(乾漆)・木の5つに大別される。最近はプラスチック樹脂なども使われているが、日本では圧倒的に木仏が多い。たとえば金属なら溶かして鋳型に流し込むなど、素材によってそれぞれ製造法が異なってくるのも仏像の見どころのひとつだ。
仏像の分類、起源、素材と製造法がざっくりわかったところで、最後に仏像鑑賞のコツを教えてもらった。