最初の仏像が造像されたのは
お釈迦様が没して約500年後

【ポイント2】仏像の起源は仏塔(ストゥーパ)である

 仏像のモデルであるお釈迦様は、紀元前483年頃(前383年頃とも)没したとされる。

「お釈迦様は生前、自分の姿を写したり、彫刻してはいけないと弟子に伝えていました。そこで、人々はお釈迦さまの骨を納めた仏塔(ストゥーパ)を拝みました。現在お墓に立てる縦長の木の板『卒塔婆』(そとうば)はストゥーパが由来です。上の左右がギザギザしているのは、密教の五輪塔の形をまねしているからだとされています」

 寺院に三重塔、五重塔が建立されているのもストゥーパに相当する。

「多くの人がストゥーパに礼拝するようになると、その壁や門にお釈迦様の生涯を描いたレリーフが、お釈迦様の姿なしで刻まれるようになりました。その下で悟りを開いたとされる菩提樹や、迷いを打ち破るという意味で円盤状の武器(法輪)がシンボルマークに使われたりもしました」

 姿がだめならというので、「足跡」をかたどった仏足石も拝まれた。そのようにして500年ほどが過ぎ、「ひと目お釈迦様を見たい」という人々の思慕が高まり、仏像が造られた。

「古代インドの北西部ガンダーラ(現在のパキスタン)でギリシャ彫刻の影響を受けたイケメン系の仏像が造られました。マトゥーラ(現在のニューデリー周辺)でもインド神風の仏像が造られました。どちらも石仏です」

 こうして誕生した仏像は、中国、朝鮮を経て仏教の教えとともに日本に伝来する。古代インドで誕生した最初の仏像は石仏だった。さて、日本に伝来した仏像の素材は何であっただろう。