ワケのわからない「謎ルール」のある会社に勤める社員が爆発
もちろん、問題は「かん口令」だけではない。これまで「社員のリークが止まらないダダ漏れ企業」を見てきた経験から言わせていただくと、ひとつのチェックポイントとして挙げられるのは「謎ルール」だ。
一般常識とかけ離れたワケのわからない謎の社内ルールが多い会社というのは、社員の内部リークが一度始まるとダムが決壊したように、タレコミが止まらないというパターンが非常に多い。
「社畜」などと揶揄される日本のビジネスマンですら、「謎ルール」は会社をやめたくなるほど強いストレスを感じるものだからだ。
ハラスメント対策研修などをおこなう、ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社が実施した「職場での謎ルールに関する調査」によれば、400名以上の企業に勤める非管理職社員319名の中で43.3%が「謎ルール」があると回答し、そのうちの74.6%がストレスを感じていたという結果がでた。さらに、この「謎ルール」のせいで約5割が退職を検討したことがあるというのだ。
こういうストレスフルな環境で働いている社員たちの不満が、自社の不祥事報道をきっかけに爆発したらどうなるだろうか。
ネットやSNSに会社の悪口を書き込むのは当たり前として、「文春リークス」や滝沢氏のようなインフルエンサーにタレコミをする者もいるはずだ。その中には、これまでストレスの原因だった「謎ルール」も含まれるというのは容易に想像できよう。
これは、いなば食品にもあてはまる。
滝沢氏へのタレコミによれば、同社には稲葉敦央社長が定めた500ページを超える社員規範がある。その中には、「有給休暇を取得する際には正当な理由を示せ」や「競合への転職禁止」などがあった。もしこれが事実ならば、労働基準法的にアウトなものもあるが、それ以上にネットやSNSで話題になったのが、以下のような「謎ルール」だ。
・長髪は35歳まで
・安い焼き肉屋にはいかない(肉に亜硝酸ナトリウムが入っているので)
・カツ丼やハンバーガーの油は赤血球をベタベタにして酸欠にさせるので危険
・不健康にならないため、ファストフードは楽しみ以外食べないこと
この一覧を見て「まるで宗教」「カルトじゃないか」とドン引きをしている人も多いが、非上場の同族経営企業や、カリスマ的な社長が君臨をしているような企業ではこの手の「謎ルール」は珍しくない。
そして、そのような企業の多くが、いなば食品のように何かしらの問題が起きると、社員たちが「待ってました」と言わんばかりに、メディアやインフルエンサーへのタレコミを止められなくなる。