死もサンタクロースと同じ一種のファンタジーです。死んだらどうなるのか、死ぬとはどういうことなのかは、言葉で説明してもらわなければ、わかりません。

 最もわかりやすい例は宗教です。まだ見ぬ死後の世界には悪いことが起こるのが前提で、聖書や経典には助かるためにしなければならないことがたくさん記されています。

 これはまさに人のなせる業です。チンパンジーは実際にあるかもわからない死後の世界のために宗教団体にバナナを献上したりはしないでしょう。

 ほかにも、人は「ダメ、絶対!」というポスターを見て一度も使ったことのない覚せい剤の使用を断ったり、お天道様が見ているからとゴミをポイ捨てせず持ち帰ったりします。こういったルールは言葉でつくられた虚像にすぎないのです。

 このようなルールに支配された行動をルール支配行動といいます。

 かの高名な親鸞については、こんな逸話が残っています。

 あるとき、信者から極楽浄土は本当に存在するのかと尋ねられた親鸞は、「私もまだ行ったことがないからわからない。極楽浄土が存在するかはわからないが、私はあると信じている」と答えたそうです。