「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。現在1万5000人が実践中。「久しぶりにぐっすり眠れた!」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された!」「健康的にダイエットできた!」と絶賛の声が続々。「3分以内でできる悩み解決ワーク」を集めた著書『すぐできる自力整体』も好評。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。今回は、自力整体の考案者であり、50年近く鍼灸師・整体治療家・ヨガ講師としても活動されてきた矢上裕さん(矢上真理恵さんのお父様)をお迎えし、東洋医学の視点から、夏に出やすい不調の解決法をお届けします。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)

【整体プロが指南】夜中、何度も目覚めてしまう人へ。涼しくなり、熟睡できる「2つのコツ」

涼しくなり、よく眠れる2つのコツ

――今回は、夏の暑さ、寝苦しさを乗り切る方法を教えてください。

矢上裕:暑くて寝苦しい夜も、熟睡モードへ導くコツは、次の2つです

1、筋肉のコリをほぐして脱力
2、体熱の分散・平均化

この2つを意識することで、体は涼しくなり、蒸し暑い夜も熟睡できるはずです。
詳しく見ていきましょう。

1、筋肉のコリをほぐして脱力

夏の暑い時期になると、自力整体の生徒さんからよくこんな話を聞きます。

「教室に行く道中では暑くてたまらなかったのに、帰りの道中では外の気温は変わらないのに、不思議に涼しくなっている自分に気がつきました!」

自力整体の実践後に涼しいと感じた理由は、コリが取れたからです。
コリというのは、自分で力を入れようとしていないのに、無意識に力が入っている状態です。

力が入っていますから、当然エネルギーはムダ使いで、筋肉は熱くなっています。
ちょうど車のアイドリング状態と似ています。

そのコリをほぐすと、筋肉が脱力して、エネルギーの消費がストップ。
まるでアイドリングのスイッチを切った状態になるので、涼しくなるというわけです。

ですから、最高の避暑法は、筋肉のコリをほぐすこと
これを意識して、寝る前に自力整体のような、ゆったりとした脱力運動をおこなってみてください。ワークは後半で紹介しましょう。

2、体熱の分散・平均化

2つ目のコツは、体熱の分散・平均化です。涼しくなり、よく眠れます。

人は、全身の経絡(けいらく・気の流れるパイプ)の流れが悪くなると、熱いエネルギーが体の上半身に集まり、冷たいエネルギーが下半身に集まります。

つまり、足は冷えているのに、顔は火照っている、頭や顔にばかり汗が出る。
たとえると、お風呂を沸かしているときに、お湯に手を触れると上側は熱いのに、浴槽の下の方は冷たい、こんな状態が人体でも起こっているのです。

自力整体をおこなうと、全身の気がめぐり、熱い気と冷たい気が混ぜ合わさって、お風呂をかき混ぜたように体熱が分散して平均の熱さになります
これが自力整体後、涼しくなる理由です。

「なんだか頭や顔の不快な暑さが、手足の末端に分散され、涼しくなったぞ」という感じです。

私たちが子どものころは、全身くまなく平均して「気」が流れていました。顔に汗が出るけれど、手足にも汗をかいていましたよね。

それが大人になると、「気」の滞りによって、手足は冷たいのに顔にばかり汗が出るという具合になる。

そこで、自力整体をおこなえば、体熱を上半身と下半身に平均して流してやることができる。これが、涼しくなるコツです。
ですから、自力整体そのものが、立派なクーラーなのです。

今年の夏は、より猛暑になるそうです。
自力で暑さも調節できる自力整体を、ぜひ取り入れてみてください。

――最後に、矢上真理恵さんの著書『すぐできる自力整体』から、蒸し暑い夜でも熟睡できる脱力ワークをご紹介ください。

矢上真理恵:下半身をほぐし、体をゆるめて、熟睡モードへ導く「下半身の脱力」のワークを紹介しましょう。脱力を促し、副交感神経を優位にしていきます。更年期に出やすい不調にもおすすめです。

【整体プロが指南】夜中、何度も目覚めてしまう人へ。涼しくなり、熟睡できる「2つのコツ」矢上 真理恵(やがみ・まりえ)写真左
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗