仕事のスケジュールは
「50%の力しか出せない自分」合わせで組む
――新刊『ブルーマリッジ』では、労働時間についての話も出てきます。カツセさんは長時間労働をどのように考えて書いていましたか。
僕が会社員だった頃からそうですが、現代社会では年齢に関わらず、「体力任せに働く」ってなかなか難しくなっていませんか。働き方改革が進んで、残業時間を細かくチェックする会社が増えてきた。
だから、「体力はまだあるけど、仕事の技術がないから今日も8時間では全然終わりませんでした」っていう若者の悩みが多い気がしています。
1986年東京都生まれ。一般企業勤務を経て、2014年よりライターとして活動を開始。2020年、『明け方の若者たち』で小説家デビュー。2021年、川谷絵音率いるロックバンドindigo la Endの楽曲を元にした小説『夜行秘密』を書き下ろし。同年、『明け方の若者たち』が北村匠海主演で映画化。2024年、3年ぶりの長編となる『ブルーマリッジ』を刊行。TOKYO FM「NIGHT DIVER」のパーソナリティも務める。
限られた時間で何かの能力を習得するのって、本当に大変ですよね。自分のサラリーマン時代を思い返しても思います。これについては“先輩たちはどうやって乗り越えてきたのか”の知見をひたすら仕入れていくしかないよな……と、思いますね。手探りですし、地道にやるしかないんですけど、それが最短ルートな気がします。
その上で、例えば僕のような小説家だったり、自分である程度時間をコントロールできる仕事に就いている人は、本当に健康が第一ですね。一番大切なのは睡眠だし、一番怖いのは腰痛です(笑)。
だから、「元気な時にめちゃくちゃ働く」ことと、「絶好調の感覚でスケジューリングは立てない」ことを、僕はかなり意識しています。
いつでも絶好調なことなんてありえないし、集中力が続かない日もありますし、子どもが風邪で倒れて4日間は潰れる、とかの可能性もありますよね。
そういう要素を考えた結果、「すごい先なんですけど、ごめんなさい。ここまでしか出せないです」と、スケジュールは結構自分の能力を低めに見積もって提出するようにしています。
――何パーセントくらいのイメージですか?絶好調が100だとしたら。
下手したら50%で出す時もありますね。50%のスケジュールで組んでおいて、100%できちゃった時とか、相手はすっごい喜んでくれますからね。
「2週間後って言ったのにもう出してくれたんですか!」みたいな感じになると、なんだかお得に感じるじゃないですか(笑)。そうやってセコく生きてます。