1913年に(大正2)に創刊した「ダイヤモンド」は、2024年に111周年を迎えた。そこで、大正〜令和の日本経済を映し出す1年1本の厳選記事と、その解説で激動の日本経済史をたどる「111年111本」企画をお届けする。第1回は大正期の1913〜18年までの8年間だ。(週刊ダイヤモンド/ダイヤモンド・オンライン元編集長 深澤 献)
【1】1913年
「そろばん主義」を掲げ
「経済雑誌ダイヤモンド」創刊
大正時代(1912~26年)は、日本が西洋の民主主義の理念に基づく政治体制に向かって進展し始めた時期であり、それまでの封建的な社会構造からの脱却を試みた時代でもあった。
藩閥元老中心の官僚政治から、政党政治の確立を目指す憲政擁護運動が始まり、政治的な変革と民主主義の普及が進んだ。また、教育の普及や新聞等のメディアの発展により、多くの市民が政治や社会問題に関心を持つようになり、政府に対する監視や批判が増え、国民の政治参加や表現の自由が拡大していった。
そんな「大正デモクラシー」の幕開けとともに、13年5月、「ダイヤモンド」は誕生した。そろばんのイラストが表紙に配された創刊号には、創業者である石山賢吉による発刊の辞が掲載されている(可能な限り原文のまま掲載するが、読みやすいよう一部を現代風に書き換えている。以下、本連載の転載記事は同様)。