「褒める文化」で成功の循環を回す

尾原:日報のお話がありましたが、「着火」や「意味づけ」の部分は、組織としてどういうふうに動いているんですか?

曽山:ここで、1on1の意味が出てくるわけですよ。ふだんの会話でも、業務や業務以外の話をすると思いますが、「あなたの強みはこういうところにある」「あなたにはこういうことを期待している」と背中を押すのは、1on1がベストだと思います。

伊藤:本当にそうですね。

曽山:1on1は、前向きになるための背中押しになっていなければなりません。「機械的な1on1は良くない」と、伊藤さんもよく言われていますが、感情がよりプラスにならないのであれば、むしろ話さないほうがいいので、そこがまず対話として必要です。

 先ほど「褒める」と言いましたが、私たちは毎月のように表彰しています。また、毎月の表彰だけでなく、日々の良いアウトプットに対して褒める文化もある。褒める文化があると、スイッチが入りやすくなります。

 ダニエル・キムの「成功循環モデル」で言えば、「関係の質」があって、「思考の質」があって、「行動の質」が変わって、「結果の質」が良くなります。

 最初に「関係の質」がないと、組織の成功循環は回りません。もちろん、「関係」の定義は、やや合理的なビジネスモデルの会社もあれば、エモくアプローチする会社があってもいいと思います。でも、会社の中における関係性が言語化されていて、経営戦略と一貫性があることは、すごく大事だと思います。

尾原:今、さらっとおっしゃいましたが、「関係の質」に対するコミットもあるし、そこに対して強制的に言語化せざるを得ないような、表彰やプロセスも埋め込んでいるわけですよね。

曽山:そうです。全部、後付けですけどね(笑)。

尾原:(笑)。

曽山:「結果的にやっていました」というのが、私たちの本音です。最初からフレームワークがあったわけではありません(笑)。

「褒めていくとモチベーションも上がるし、ポジティブになるよね」「減点方式の会社よりは、褒め合っている、期待している会社のほうがいいよね」と議論して、経営陣が「そうしよう」と決めたんです。

伊藤:なるほど。