接待飲食費を損金算入とするために
控えておくべき情報とは?

 また、接待飲食費で1人当たり5000円を超えるという場合でも、50%(資本金1億円以上の大企業)あるいは800万円まで(資本金1億円未満の中小企業)については損金算入とすることができます。ただし、

・飲食等の年月日
・飲食等に参加した得意先、仕入れ先など事業に関係のある者等の氏名や名称、その関係
・飲食等に参加した者の人数
・その費用の金額並びに飲食店等の名称、所在地など
・その他参考となるべき事項
(国税庁のウェブサイトより)

 を明記していなければ、損金算入としては認められません。これらの知識は会社の中の経理・会計担当だけが知っていればよい、というものではなく、社員全員で共有し、取引先との接待等の際に留意する必要があります。この点が意外に見過ごされやすく、その結果、意図せずして使途不明金を出してしまう、ということが少なくありません。

 税務調査の対象とならないためには、普段から、全社員を挙げて会社外との金銭のやり取りを意識することが何よりも重要なのです。

 税務調査の際の「争点」になりやすいポイントはいくつかありますが、その中でも特に税務調査官から目をつけられやすいのが、役員を含めた社員が「個人的に使った」と考えられやすい経費です。

 特に中小企業などでは、会社と役員の個人的な資産、個人的な経費が曖昧になりやすい傾向があります。こうした点において明確な記録書類がない場合には、税務調査官が納税者を問い詰めやすく、不利な状況へとリードされやすくなります。

 このように「個人的な支出と誤解されやすい」経費については、必ず金銭のやり取りが発生した「その日のうちに」、帳簿に記載しておくとよいでしょう。

 また、意図的ではない税法違反が発生しやすい事例として、現金ではなくクレジットカードでの決済を行った場合があります。こうしたケースにおいては、カード支払い明細書と、支払いの際に渡される領収書を混同し、領収書などを二重に計上してしまうというミスが起こることがあります。