DX180社図鑑 株高&高給はどこ?#13Photo:BlackJack3D/gettyimages

生成AIはITベンダーの顧客向けシステム構築業務にも大きく影響を与えそうだ。難関となっている基幹システム更新や、大型プロジェクトの進行に生成AIはどう生きるのか。大型の基幹システムを含む、あらゆるシステム構築の現場で活用が可能という企業も現れた。特集『DX180社図鑑』(全20回)の#13では、大手ITベンダーによる生成AIの最新活用方法を見てみよう。また、生成AIに関連する企業の将来の成長性と給与の伸びも明らかにする。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

プログラムの8割はAIが書く時代に!
ITベンダーの生き方はどう変わる?

「数年後にプログラムの8割がAIで書かれるようになるだろう」――。米マイクロソフトが買収した、世界最大のソフトウエア開発プラットフォーム米GitHubのトーマス・ドムケCEO(最高経営責任者)がこう発言したことがIT業界で話題となった。

 GitHubでは、マイクロソフトが米オープンAIと組んで開発した生成AIのサービスCopilotの機能を取り入れたGitHub Copilotという支援ツールの提供を始めている。プログラムを書くエディターに常駐し、システムエンジニアが書くプログラムの次を予測しながら提案を行う機能だ。「AIはソフトウエア開発を再定義し、塗り替えていくだろう」とドムケ氏は言う。

 もともと生成AIの恩恵を最も受けやすいといわれてきたのがIT業界だ。プログラムという文字情報を使うほか、過去のプログラム資産の蓄積を活用することで可能になることが多いからだ。

 2023年のChatGPTの登場から盛り上がった生成AIブームを受けて、ほぼ全社に近いITベンダーが、業務に生成AIを組み込む取り組みを始めている。「生成AIの活用」をDX(デジタルトランスフォーメーション)の営業トークとしている企業も多く、DXブームの中で今年のトレンドとなっていることは間違いない。

 野村総合研究所は24年度、AI関連サービス開発などに約100億円を投資して研究開発を行う計画だ。日立製作所は、企業の基幹システムや社会インフラシステムなどのシステム開発で蓄積したノウハウと生成AIを組み合わせた開発ツール群をフレームワークとして整備した。

 具体的にどの企業がどのような動き方をしているのだろうか。そして、生成AIの活用で台頭する企業、出遅れる企業はどこなのか。また、AIがITベンダーの仕事を奪うという未来は到来するのだろうか。工数や時間がどれほど効率化されたかを実際の企業での例とともに紹介しつつ、次ページから詳しく見ていこう。