歯医者「減少」時代#8Photo:izusek/gettyimages

歯科医師に「将来の不足説」が浮上している。となると入試偏差値が低迷している歯学部は今が狙い目。ただし、卒業前には合格率約6割の歯科医師国家試験が待ち受ける。この国試合格率と大学のレベルは必ずしも比例しない。入りやすいのに国試合格率が高いのはどこか。特集『歯医者「減少」時代』(全26回)の#8では、私立大学歯学部を「面倒見の良さ」で格付けした。( ダイヤモンド編集部 野村聖子)

入りやすいのに国試合格率が高い
「面倒見の良い」私立大を格付け

 歯科医師になるためには、大学の歯学部歯学科で6年間学んだ後、歯科医師国家試験に合格しなければならない。

 その第一関門である歯学部への入学は、大学を選ばなければさほど難しくはない。「コンビニエンスストアより多い」「ワーキングプア」とやゆされ、歯科医師過剰が表面化した2000年代後半以降、特に私立大学で志願者の低迷が続いているからだ。

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)では、医学部を中心に「医療系学部は軒並み志願者を増やした」(ベネッセコーポレーション教育情報センターの谷本祐一郎センター長)。しかし、歯学部だけはその波に乗れず、下位の大学では志願倍率が例年1倍前後で推移しているところもある。

 歯科医療の現場では目下、歯科医師が将来不足するという見立てが出てきている。求人条件も引き上げられ、「勤務5年目で年収1200万円は稼げる」と現役のある歯科医師は言う(本特集#1『過剰だった歯科医師に“不足説”が浮上、ワーキングプアから「5年目で年収1200万円」勝ち組職種への大転換』参照)。塾・予備校関係者から「下位の大学なら、受験勉強をしなくても入れる」と言われている昨今の歯学部の易化を考えると、歯科医師はその実、かなりお得な資格といえるだろう。

 ただし、最終関門の国試はそう甘くない。24年春に行われた国試の合格率は66.1%と、3割強は不合格となっている。この数字には休学・留年者や、卒業済みの既卒者も含まれており、歯学部を6年間ストレート(修業年限)で卒業した学生のみに絞ると合格率はさらに下がる。

 私立大学歯学部の6年間の学費は、医学部ほどではないにせよ平均で2900万円前後かかる。休学や留年をすればさらに負担はかさむ。親としてはストレートで卒業、国試に合格してもらいたいところだ。

 修業年限での国試合格率は入試難易度が上位の大学ほど高い傾向ではあるが、必ずしも両者が一致しているわけではない。では、入るのは易しいのに国試合格率が高い「面倒見の良い歯学部」はどこなのか。次ページでは、入試偏差値、6年間ストレートでの国試合格率、学費の3指標で面倒見の良さを測り、17の私立大歯学部を格付けした。