歯医者「減少」時代#11Photo:PIXTA

歯科医師の半数以上は開業医だが、そのほとんどは経営を学んでいない。そこで頼るのがコンサルティング会社であり、中でも船井総合研究所は「歯科コンサルの雄」となっている。多くの歯科医院の経営を軌道に乗せてきた一方、歯科医師の中には「船井総研否定派」も多い。特集『歯医者「減少」時代』(全26回)の#11では、歯科業界におけるコンサルティングの功罪に迫る。(ダイヤモンド編集部 野村聖子)

歯科業界で存在感増すコンサル
「船井総研否定派」の歯科医師も

 歯科医師全体の53.9%、つまり半数以上は開業医だ(厚生労働省「令和4年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」)。年齢層が上がるほど開業が増え、50代以上では実に約8割。歯科医師のキャリアは勤務医よりも開業医になる方が圧倒的にメジャーである。

 黙っていても患者が来るような時代は、開業すれば当然のようにもうかった。しかし2000年代に入ると歯科医師の過剰が表面化し、「歯科医院はコンビニより多い」「ワーキングプアもいる」と、歯科医師の困窮ぶりが取り沙汰されるようになった。

 歯科医師たちはライバルがひしめく中で患者集めに苦戦した。これを商機に、歯科業界で存在感を増していったのがコンサルティング会社だ。

 中でも歯科コンサルの雄となっているのが、中小企業を主なターゲットとしているコンサル大手の船井総合研究所である。関西で歯科医院を経営する30代の歯科医師は開業当時からアドバイスを受け、開業5年で「地域内で最も年間の新規患者数の多い歯科医院に成長した」と喜ぶ。

 経営を学んだこともないまま開業する歯科医師でも実践できるよう、患者を集める鍵を分かりやすく指南し、これによってあまたの開業医が経営を軌道に乗せた。しかし、そこには功罪があった。

 故に、歯科医師の中には「船井総研否定派」も多い。功罪の“罪”とは何なのか。次ページで、その詳細を明らかにする。