それから4カ月、ホンダ・日産両社の技術陣現場による「100day SPRINT」(100日間協議)を経て、車載ソフト、基幹部品、電池の全面協業や車両相互補完にまで合意し、驚くべきスピードで今回のトップ会見にこぎ着けた。さらに、三菱自の合流も正式に発表したことで、「トヨタ連合」(トヨタ自動車・スズキ・マツダ・SUBARU・いすゞ自動車・ダイハツ工業・日野自動車)対「ホンダ・日産・三菱自連合」という新たな国内自動車業界構図が鮮明となった。

 ちなみに、実は8月1日の両社長会見に先立ち、7月末には異例の出来事があった。

 それは、日本経済新聞が7月26日(金)と27日(土)、日曜日を挟んだ29日(月)の1面トップで、連続して自動車業界マターの記事を掲載したのだ。26日付が「ホンダ、中国生産3割減 日野はエンジン撤退 EV攻勢受け不振」、27日付が「トヨタ、九州にEV供給網 福岡に電池新工場」、29日付が「三菱自、ホンダ・日産と合流 協議開始、車載ソフト共通化 トヨタと2陣営に」という見出しだった。

 日経の1面トップ記事で自動車関連が実質“3連チャン”というのは、いかに自動車が日本経済の大黒柱といえども珍しいケースである。いずれも8月1日のホンダ・日産の会見につながるもので、象徴的な動きといえよう。

8月1日は自動車業界にとって
歴史的な一日となるのか

 初めて提携検討を公表した3月の会見では「まだ、その段階ではない」と握手を拒んだホンダ・日産両社長だったが、今回の会見ではにこやかに握手を交わした。100日間協議の成果として、車載ソフトやEV部品共通化で合意したこと、さらに目玉として次世代SDVの共同開発にまで踏み込めたことが大きいだろう。「知能化・電動化に対応できないと、淘汰(とうた)される」(ホンダ・三部社長)、「文化の違いがあっても危機感と目的の共有化でウィン・ウィンに」(日産・内田社長)という共通意識が、踏み込んだ協業を生んだといえる。