ある意味で、日産は経営の自由を手にして、今回のような自由なアライアンスへの布石になったともいえるが、ここで悩ましいのが、事業改革などで業績回復が進んだかに見えた日産だが、足元で北米での販売不振や価格競争の激化による中国事業の悪化が表面化していることだ。

 7月25日に発表した日産の24年4~6月期の営業利益は前年同期比99%減の9億9500万円と、業績が急失速している。これにより、25年3月期の通期見通しを下方修正し、増益から一転し減益見通しとなった。

 また、三菱自も7月23日に24年4~6月期決算を発表したが、営業利益は前年同期比21%減の355億1900万円の減収減益となった。昨年、構造改革として中国からの撤退を決めているが、主力のASEAN(インドネシアやタイ)が落ち込んでおり厳しい状況にある。

 日仏3社連合で、日産と三菱自はいまだ構造改革のさなかにあり、しかもアライアンス内で分担する主要なテリトリーとしての日産の北米、三菱自のアジア地域での苦戦が表面化している。

 ルノーのEV会社「アンペア」に日産・三菱自ともに参画し協業することを発表しているが、将来的にホンダとの協業の関係をどう並行して進めていくのか、より具体的にいえば、業績不安が続く中で、果たしてどちらにも十分な経営資源を投下できるのかという不安がつきまとうことになるのだ。

 片や、ホンダにしても、“ドル箱の北米事業”以上の収益源となっていた中国事業の縮小を迫られているなど、業績の先行きに不安感がある。

 日経新聞が7月26日付の一面トップで指摘しているように「中国生産3割減」と、生産規模の縮小を余儀なくされている。それでなくても、ホンダは四輪車事業の収益性の低迷から、二輪車事業に「おんぶに抱っこ」の状態が長年続き、ようやく直近で四輪車事業が黒字に転換したばかりだ。安泰とはいえない。